野外の粘着トラップに捕殺されたコナガ成虫は8日以内までPCRに利用できる

タイトル 野外の粘着トラップに捕殺されたコナガ成虫は8日以内までPCRに利用できる
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業研究センター
研究課題名
研究期間 2014~2016
研究担当者 上杉龍士
日本典秀
後藤千枝
発行年度 2016
要約 野外に設置する粘着トラップから回収するコナガ成虫を、薬剤抵抗性遺伝子診断等のPCRに利用する場合、放置期間が長いほど紫外線によるDNAの劣化が進むが、放置期間が8日以内であればPCR成功率はほぼ9割を超える。
キーワード コナガ、遺伝子診断、PCR、薬剤抵抗性、粘着トラップ
背景・ねらい コナガ(Plutella xylostella)は、これまで、さまざまな系統の薬剤に対して抵抗性を獲得しており、アブラナ科作物の難防除害虫となっている。コナガ防除において適切な薬剤を選択するためには薬剤抵抗性程度を把握する必要があり、近年は、抵抗性遺伝子マーカーを用いたPCR法による抵抗性遺伝子診断技術の重要性が高まっている。遺伝子診断に用いるコナガ成虫を集める手段としては、発生予察用フェロモンを利用した粘着トラップ(図1)による捕殺が効率的であるが、野外のトラップに放置された捕殺成虫のDNAは時間とともに劣化し、PCRへの利用ができなくなる可能性がある。そこで、粘着トラップに付着させたコナガ成虫の野外での放置期間とPCR成功率との関係性を明らかにし、PCRへの利用可能性を評価する。
成果の内容・特徴
  1. 粘着トラップに付着させたコナガ雌雄成虫を野外環境で一定期間放置し、回収したトラップから成虫をヘキサンで剥がし、そこから抽出したDNAを用いてPCRを行うことが可能である(図2)。
  2. コナガ成虫の野外トラップでの放置期間が長いほど、PCR成功率は低下する(図2、図3)。
  3. 日向より日陰のトラップのコナガ成虫の方が、PCR成功率が高い(図3)。日向においては、5、6月よりも9、10月に設置したトラップの成虫の方が、PCR成功率が高い(図3)。環境観測データ(表1)から、PCR成功率の低下の原因は主に日光の紫外線によるDNAの劣化であると推察される。
  4. 設置時期、場所にかかわらず、放置期間が8日以内であればPCR成功率はおおむね9割を超える。
成果の活用面・留意点
  1. 本成果は、発生予察用フェロモンを利用した粘着トラップに捕殺されるコナガ成虫を用いて、抵抗性遺伝子診断などのPCR法による遺伝子解析を行う場合に適用できる。
  2. 粘着トラップに捕殺されたコナガ成虫のDNAの劣化を防ぐためには、トラップを日陰に設置する、またはトラップの屋根に日よけを設置するのが効果的である。
  3. 本成果でPCR成功率を評価するために用いた遺伝子領域は、ミトコンドリアCOI遺伝子領域およびマイクロサテライト領域(ゲノム領域)の2つである。抵抗性遺伝子診断においては、PCRを行う際のプライマーや遺伝子領域の特性によってPCR成功率は変わる場合がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028878
カテゴリ あぶらな 害虫 診断技術 抵抗性 抵抗性遺伝子 フェロモン 防除 薬剤

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