定置網漁業における生産基盤強化システムの開発

タイトル 定置網漁業における生産基盤強化システムの開発
担当機関 京都府農林水産技術センター海洋センター
研究課題名
研究期間 2014~2015
研究担当者 上野陽一郎
発行年度 2016
要約 定置網漁業における生産基盤を強化する目的で、サイズ毎に漁獲物を選別して魚倉に収容する船上型選別装置を開発し、帰港後の選別時間を26%短縮して選別作業の軽減を図った。また、全国的に問題となっている春季から初夏にかけて大量に入網するクラゲ類について、箱網内における行動を観察し、行動特性に基づいたクラゲ類排出装置を開発した。
背景・ねらい 我が国の沿岸漁業で重要な位置を占める定置網漁業において、作業の省力化のために、サイズ毎に漁獲物を選別して魚倉に収容する装置を開発し、効率的な冷却処理や帰港後の選別時間の短縮ならびに選別作業の軽減を図る。また、全国的に問題となっている、クラゲ類の定置網への大量入網について、クラゲ類を効率的に網外へ排出する装置を開発し、鮮度低下を防ぐ。 
成果の内容・特徴 日によって組成や大きさが異なる定置網漁獲物を効率よく選別するために、魚倉上に設置したタンク内に間隔調整が可能なステンレス製スリットを配し、上部から漁獲物を入れて小型魚を底面開口部から直下の魚倉へ、中・大型魚を側面開口部から隣接する魚倉へと選別収容する装置を開発した。スリット幅およびスリット自体の傾角は、その日の漁獲物に応じて簡便に調整可能な構造となっており、スリット幅の調節範囲は約20~40mmである。実際の定置網漁場で約1ヶ月間、本装置を漁業者に自由に使ってもらってデータを取ったところ、小型魚と中大型魚を97 %選別することができた。また、選別装置の使用時と不使用時で、帰港後の手選別に要した漁獲量1トンあたりの平均時間を比較したところ、26 %の時間短縮となった。小型カメラを用いて網内を観察した結果、多くの魚種は網底付近を遊泳し、揚網の進行につれて次第に遊泳深度が浅くなることを確認した。他方、クラゲ類は、揚網時の網の動きによって揚網終盤に海面付近に駆集される様子が観察された。これら魚類とクラゲ類の網内分布を受けてクラゲ類を排出する装置を製作した。 
成果の活用面・留意点 選別装置を使用した漁業者からは、作業負担が大幅に軽減されることから今後も引き続き用したいとの高い評価を得た。装置の製作に要した費用は50万円以下で、手持ちの容器を加工すればその分安くなる。本装置の選別メカニズムの特徴として、魚自身の動きを利用するため、シンプルかつ無動力であることが挙げられる。また、全ての漁獲物およびゴミ等がスリット上に平面的に展開されるため、活魚出荷用や魚倉に入れない漁獲物を手早く別水槽に分けて入れることができ、ゴミ等の除去も容易に行える。加えて、小型魚と中・大型魚を魚倉を分けて収容できるため、帰港後、中心部まで冷えるのに時間のかかる大型魚の取り上げを後回しにすることで充分な冷却が可能となる。調査期間中にクラゲ類の大量出現が認められず、クラゲ類排出装置の効果の数値的検証には至っていないものの、揚網終盤に網内においてクラゲ類と漁獲物が上下層におおまかに分かれるので、このタイミングで本装置を使用することで、効果が期待される。 
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028836
カテゴリ 加工 出荷調整 省力化

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