システム工学的手法による労働安全を考慮した漁船船体設計手法

タイトル システム工学的手法による労働安全を考慮した漁船船体設計手法
担当機関 (国研)水産研究・教育機構 水産工学研究所
研究課題名
研究期間
研究担当者 三好潤
長谷川勝男
松田秋彦
藤田薫
高橋秀行
発行年度 2016
要約 小型底びき網漁船を対象に、労働安全を考慮した新しい漁船を創出する試みを行った。まず、現状の作業性や漁具漁法、船体や機関を調査した。そのうえで、労働安全、船体性能、漁獲能力、船価などについて評価指標を定義し、船体主寸法(長さ、幅、深さ)をシステム工学的に検討して改良船型を設計した。水槽実験などにより、改良船型は安全性、作業性、省エネの仕様を満足することを確認した。
背景・ねらい わが国漁船の労働環境、甲板上の作業スペースが充分でないことは良く知られている。一層甲板船では、同一甲板上に漁労機器や漁具が設置され、残されたわずかなスペースで漁労作業や選別作業が行われている。一般に漁船の基本設計は、許可された総トン数の中でもっとも生産性が高くなるように設計が進められるため、必然的に魚倉、エンジンや漁労機器など生産性に直接関係するもののサイズや配置が優先され、充分な空間容積を確保した作業環境や居住環境は実現されにくい。一方で近年、作業環境や居住環境、船体の安全性を考慮した漁船設計が志向されており、これまでとは異なる新しい漁船設計を実現するための工学的なアプローチが求められる。そこで、小型底びき網漁船を対象に作業性や漁具漁法、船体や機関を調査し、システム工学的手法を用いて新しい漁船を創出する試みを行った。 
成果の内容・特徴 小型底びき網漁船を対象に、現状の作業性や漁具漁法、船体や機関を調査したうえで、システム工学的手法を用いて作業性や船体安全性向上となる改良船型設計方法を創出した。個別具体的な船体主要目の決定や、船型設計の手法などは従来からの造船工学・設計に委ねることとし、概念設計もしくは上流設計で重要な船体主寸法(長さL,幅B,深さD)の決定手法に着目し、各種指標を作成して最適設計問題として定義した。労働安全の向上は作業スペースの確保、すなわち甲板面積の拡大と考え、長さと幅の積(L × B)で定義した。漁獲能力は魚倉や燃料タンク容積に比例する主寸法の相乗積(L × B × D)で定義した。また主機出力を現状以下とし、船体の安全性や推進性能は、主寸法比(L / B,B / D)により定義した。船価は船殻重量に比例する船体表面積(L( B + D))で定義した。これらを用いて、非線形計画法による最適設計手法によって、作業スペースを拡大した漁獲能力が現状よりも大きくならない、安全で船価の安い船体主寸法を算出し、それらを基に小型底びき網漁船の改良型船型を設計した。模型船による水槽実験などにより、この船型は安全性、作業性、省エネの仕様を満足することも確認した。 
成果の活用面・留意点 本手法は他の漁業種の漁船にも適用可能である。ただし現状の作業性や漁具漁法、船体や機関についての十分な情報収集が必要。また、今回の船型には採用していないが、バルバスバウ等の船首形状改良によって船体抵抗をより軽減できる可能性があると考える。 
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028832
カテゴリ 省エネ・低コスト化

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