水耕栽培トルコギキョウの根腐病に対する、化学合成農薬の初の適用拡大

タイトル 水耕栽培トルコギキョウの根腐病に対する、化学合成農薬の初の適用拡大
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜花き研究部門
研究課題名
研究期間 2013~2016
研究担当者 佐藤衛
福田直子
発行年度 2016
要約 防除効果と薬効成分の残留調査結果を提示することにより、NFT式循環型水耕栽培におけるトルコギキョウの根腐病に対して、これまで登録の無かった化学合成農薬が適用拡大となり、防除に利用できる。
キーワード トルコギキョウ根腐病、NFT式循環型水耕栽培、農薬適用拡大
背景・ねらい トルコギキョウは、2013年の作付面積431ha、出荷量1.02億本で、産出額(2012年)は、キク、ユリ、バラ、カーネーションに次ぎ99億円と重要な花きの一つであり、栽培期間は本圃で最大7ヶ月と長期にわたることが知られている。
2011年3月の東日本大震災からの復興を目的として福島県いわき市において、栽培期間の短縮と高品質化、周年栽培を図るため、水耕栽培が開始されている。しかし、水耕栽培では根腐病の発生により、収量が著しく減少する可能性がある。原因菌の栽培ベッドへの飛び込みに対しては温室内外への出入り時の靴の履き替えの徹底、ハウス周辺のシート被覆による塵埃飛散防止などを行って対処し、培養液の殺菌は紫外線、オゾン、銀イオン、慮過などで行っているが、これらの対応では不十分であることから、化学合成農薬による防除が求められている。そこで、我が国では、トルコギキョウの水耕栽培における化学合成農薬の登録は無かったが、アゾキシストロビン・メタラキシルM粒剤の根腐病に対する防除試験を行うとともに、水耕栽培終了時の廃棄養液内に薬効成分が環境基準値未満である結果を提出することで、トルコギキョウのNFT式循環型水耕栽培における根腐病に対して、初の適用拡大を行う。
これにより、全滅の可能性がある収量を100%近くに回復できるなど安定生産が可能となることから、今後、トルコギキョウの水耕栽培が展開していくことが期待できる。
成果の内容・特徴
  1. トルコギキョウの水耕栽培では根腐病が発生して、根の褐変腐敗により、株を枯死させる(図1A、B、C)ため、水耕栽培試験(図2A)において、アゾキシストロビン・メタラキシルM粒剤(0.25g/株または0.5g/株)を本葉2対のトルコギキョウ苗の定植後まもなく株元に処理する方法(図2B)により、根腐病への防除効果と養液における薬効成分量を調査する。
  2. 2年間の試験とも、アゾキシストロビン・メタラキシルM粒剤0.25g/株または0.5g/株を定植後まもなく株元に処理することにより、防除価は90以上と根腐病の発生を抑制することが可能である(表1)。また、栽培終了時の養液における薬効成分は、農薬の登録保留基準値を下回る(表2)。
  3. この結果により、アゾキシストロビン・メタラキシルM粒剤は「トルコギキョウ(水耕栽培)に使用する場合、NFT式循環型水耕栽培施設で行うこと。使用にあたっては普及指導センターの指導に従い、廃液は環境中に流出しないように適切に処理すること」との使用上の注意が付され、トルコギキョウ(水耕栽培)の根腐病に適用拡大されている。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:水耕栽培によるトルコギキョウの生産者および企業。
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:福島県いわき市他、水耕栽培計画中の生産者等、数十a。
  3. その他:上記[成果の内容・特徴]2.の使用上の注意を守る。
  4. 適用拡大については、独立行政法人農林水産消費安全技術センター「農薬登録情報・速報 平成28年02月17日分」(2016年2月17日)に掲載されている。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028828
カテゴリ カーネーション きく 栽培技術 出荷調整 水耕栽培 トルコギキョウ 根腐病 農薬 ばら 防除 ゆり

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