培養された渦鞭毛藻Karenia mikimotoiのクロマグロ幼魚に対する致死性の検討

タイトル 培養された渦鞭毛藻Karenia mikimotoiのクロマグロ幼魚に対する致死性の検討
担当機関 (国研)水産研究・教育機構 西海区水産研究所
研究課題名
研究期間 2014~2015
研究担当者 松山幸彦
永江 彬
高見生雄
平江 想
山砥稔文
吉川壮太
石田直也
発行年度 2016
要約 九州海域では赤潮による養殖クロマグロの大量死が頻発している。赤潮による被害を回避して養殖事業の安定化、規模拡大につなげるための基礎資料を得るため、今回はカレニア属を選定し、クロマグロ稚魚を用いた室内曝露試験を実施した。試験の結果、クロマグロ稚魚はブリ稚魚と比較して、およそ2~3倍の感受性を示すことが判明したため、クロマグロを対象とした赤潮注意報と警報の設定が必要である。
背景・ねらい 九州海域では有害赤潮発生に伴う漁業被害が頻発している。近年は養殖規模拡大が著しいクロマグロ養殖業にも被害が発生しており、赤潮監視体制の強化が求められている。クロマグロは他の魚種に比較して赤潮への感受性が高いことが指摘されているが、死亡密度に関する定量的な評価結果がないため、クロマグロを対象とした赤潮注意報や警報が設定されていない。そこで、今回はカレニア属を選定し、クロマグロ稚魚を用いた室内曝露試験を実施することで、赤潮の影響を定量的に評価することを試みた。 
成果の内容・特徴 Karenia mikimotoiに対する曝露試験は、2014年9月9日と2015年8月27日に実施した。長崎県総合水産試験場で種苗生産されたクロマグロ稚魚と、比較対象として西海区水産研究所で種苗生産されたブリ稚魚をそれぞれ用い、大村湾から単離されたK.mikimotoi 強毒株を大量培養し、供試魚を投入する方法で実施した(図1)。最大4時間の曝露を行い、開始前と終了時にK. mikimotoi の細胞密度、生残時間、水温、溶存酸素濃度、および塩分を測定した。1試験区あたり5個体のクロマグロ・ブリ幼魚を用いた。クロマグロ幼魚は、試験液へ投入された直後から鼻上げや激しい上下への遊泳行動、鰓クリーニング(水の吐き出し)が確認され、その後横転して痙攣を経たのち死亡した(図2)。試験中、溶存酸素濃度は8mg/L以上を示していた。この死亡に至る行動・組織像はブリ幼魚に類似していた(図3)。K. mikimotoi に対する感受性を半数致死量(LD50-4h)で表すと、2014年の実験結果では、クロマグロ幼魚が615 cells/mL、ブリ幼魚が1,280 cells/mL、2015年の実験結果では、クロマグロ幼魚が705 cells/mL、ブリ幼魚が2,000 cells/mLであり(図4)、クロマグロ幼魚はブリ幼魚に比較して2~3倍の感受性であることが分かった。 
成果の活用面・留意点 従来魚種に基づいた赤潮注意報・警報では、警報発令前にクロマグロに漁業被害が発生する危険性がある。このため、試験によって得られたデータをさらに解析し、クロマグロに最適な注意報・警報基準の設定を目指す。さらに、他の赤潮プランクトン種がクロマグロに与える影響についても曝露実験に基づき比較することにより、感受性やへい死機構を明らかにしていく必要がある。 
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028818
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