植食性魚類の効率的漁獲方法の検討(刺網試験及び冬季のアイゴの行動生態)

タイトル 植食性魚類の効率的漁獲方法の検討(刺網試験及び冬季のアイゴの行動生態)
担当機関 宮崎県水産試験場
研究課題名
研究期間 2013~2015
研究担当者 福田 紘士
発行年度 2016
要約 県内2地区の刺網試験から、漁獲割合の上位5魚種について、ブダイは外洋に近い場所、ニセカンランハギは夏季、ニザダイは晩夏~冬季、メジナは冬季、ノトイスズミは冬季が漁獲に適していると思われた。また、行動生態調査から、冬季のアイゴ成魚は、広範囲の移動は行いにくく、似た移動経路を示すものの、群れでは行動していないと考えられた。また、この時期の湾奥の藻場への影響は小さいと推察された。
背景・ねらい 本県沿岸の磯焼けの進行において、植食性魚類の過剰な藻類採食が主原因の一つとなっているが、現状では漁獲による除去で、生息密度を低下させることが主対策と考えられている。このことから、効率的漁獲方法を検討するため、刺網試験や行動生態調査を実施した。 
成果の内容・特徴
  • 平成25~27年の日向市平岩地区及び串間市東地区における刺網の漁獲試験(藻場保全活動における植食性魚類の除去)においては、植食性魚類として、ブダイ(36%)、ニセカンランハギ(28%)、ニザダイ(15%)の漁獲が特に多く、漁獲量は場所、時期によって変動した(図1)。

  • 得られたデータにより考えられた効率的な漁獲方法は表1のとおりとなった。また、夏季~冬季における3~5回程度の漁獲のみでは、大きな植生の改善にはつながらなかった。

  • 植食性魚類のうち、アイゴについて、影響が強いと推定される門川湾にて、アイゴの移動経路や蝟集場所の把握のため、地先の定置網により漁獲後、蓄養していたアイゴ18尾(平均全長29.1cm,24~38cm)に対し、平成28年1月20日にコード化ピンガー(超音波発信器)を装着し、受信機を8台設置した海域に放流し(図2)、同年3月3日に受信機を回収し、受信データを解析した結果、いずれの個体も複数の受信機で受信があった。

  • 期間中実験海域内に留まった個体(図3)が12尾、外へ移動したと判断された個体が6尾(1~29日間留まった)であった。

  • 放流地点付近に設置した受信機3台のみで受信した個体が17尾、放流地点の沖側の受信機でも受信した個体が1尾であり、湾奥に移動したデータが得られた個体はなかった。

  • 期間を通しては、類似した受信パターンから一定のグループ化はできるものの、個体毎に細かく受信パターンを見ると、その行動は様々であると考えられた(図4)。

  • これらのことから、冬場の低水温期におけるアイゴ成魚は、広範囲の移動は行いにくく、似た移動経路を示すものの、群れでは行動していないと考えられた。また、水温が比較的低く、藻場が形成されやすい湾奥への移動はみられないことが示唆され、この時期の湾奥の藻場への影響は小さいことが推察された。
成果の活用面・留意点 植食性魚類の効率的漁獲に関する知見として活用が期待される。どの植食性魚類がどの程度藻場に影響を与えるかは地域や時期により異なると考えられるため、各地域の特性を把握した上で、地域に応じた対策の検討が必要である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028802
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