ノリのバリカン症発生原因の解明と対策の試み

タイトル ノリのバリカン症発生原因の解明と対策の試み
担当機関 愛知県水産試験場
研究課題名
研究期間 2013~2016
研究担当者 松村貴晴
黒田伸郎
村内嘉樹
発行年度 2016
要約 愛知県河口域のノリ漁場でしばしば発生するバリカン症の原因を明らかにするため、西尾漁場及び野間漁場でバリカン症発生モニタリングを行った。その結果、秋芽網生産期のバリカン症は目合い9cmの網を通り抜けられる水中生物によって引き起こされ、 水温、塩分や水中化学物質、病原体の影響は認められないことが明らかとなった。また、冷蔵網生産期では水上生物によって引き起こされる可能性が示された。
背景・ねらい 本県では主に河口域のノリ養殖漁場において、バリカン症が頻発することによる生産性の低下が問題となっている。バリカン症は全国的にみられる原因不明のノリの障害で、ノリ葉体が切断される症状を示す。その発生要因は海水の低塩分化の影響や魚類等による食害が疑われているが、特定には至っていない。そこで本研究ではバリカン症が発生しやすい環境条件を特定するとともに、要因としての食害の可能性を評価するために、河口域漁場でバリカン症発生状況調査、環境調査および防除網の効果試験を実施した。 
成果の内容・特徴 秋芽網生産期には新しい切断痕は岸側よりも沖側で、単張り直後や摘採直前に多く見られ、いずれも大潮期にあたっていた(図1)。水温・塩分の連続観測では、低塩分への暴露が観測されたものの、切断との関連性は見られなかった。また漁場で採取した海水により正常葉を培養したが、切断に至るような障害は見られなかった。防除網試験では、秋芽網生産期には側面を目合い1.5cmの網、上部を25cmの網で囲った完全防除区でほとんどバリカン症が発症しなかったのに対し、ノリ網より下部を9cmの網で囲った水中網区では軽度のバリカン症、防除網を設置しない対照区では重度のバリカン症が発生した(図2)。冷蔵網生産期にはノリ網より上部を9cmの網で囲った水上網区でバリカン症の軽減効果がみられた(図3)。以上から、今回の試験では、9cmの網を通過できる魚類などの水中生物、上部から侵入するカモなどの鳥類がバリカン症の発生に関与している可能性が高い、と考えられた。完全防除区に対する水中網区、対照区のバリカン症による被害の割合を算出すると、対照区62%、水中網区28%となり(表1)、食害によるバリカン症の被害を定量的に評価することができた。
成果の活用面・留意点 ノリ網の上部を完全に覆うことは現実的には困難であるため、防除網以外の鳥類食害防除対策を検討する必要がある。食害魚については、目合い9cmの防除網で一定の防除効果は認められるものの、充分ではなかった。しかし、目合いを小さくすると目詰まりを起こしやすくなり頻繁に手入れをする必要があるため、目合いの縮小は困難である。以上のことから、今後は、カモや魚類などの原因生物を駆除する効果等についても検討を進めてゆく必要がある。 
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028798
カテゴリ 発生要因分析 防除 モニタリング

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