オホーツク海沿岸域での流氷後退時期が植物プランクトンブルームに及ぼす影響

タイトル オホーツク海沿岸域での流氷後退時期が植物プランクトンブルームに及ぼす影響
担当機関 (国研)水産研究・教育機構 北海道区水産研究所釧路庁舎
研究課題名
研究期間 2011~2015
研究担当者 葛西広海
発行年度 2016
要約 流氷期の北海道オホーツク海沿岸域の海洋環境の特徴と流氷後退時期の年変動の関係を明らかにするため、紋別周辺沿岸域の海洋環境モニタリングデータと海氷分布データを解析した。海氷の沿岸域での後退時期は年変動が大きく、後退後速やかに沿岸域ではクロロフィルa濃度が増加し、海氷の後退がオホーツク海沿岸域での植物プランクトンブルームの開始の重要な要因であることが明らかとなった。
背景・ねらい 北海道のオホーツク海沿岸域はホタテガイの有数の漁場であり、水産上重要な海域である。一方で、冬季に来遊する流氷のため、冬季から春季にかけての海洋環境や生物生産力に関する知見は限られている。水産研究・教育機構は紋別市との共同研究の一環として、1996年から紋別沿岸域で行われている海洋環境モニタリングデータを解析するとともに、衛星リモートセンシングにより得られた紋別周辺沿岸域の海氷分布データと比較し、流氷の来遊・後退が沿岸域の海洋環境に及ぼす影響の評価に取り組んだ。 
成果の内容・特徴 紋別港外の観測施設(オホーツクタワー、図1)でのモニタリングデータを用いて、オホーツク海沿岸域の海洋環境(水温、塩分、クロロフィルa濃度)の季節変動を求めた。表層水温の気候値は2月中旬に最低値を記録し、8月まで上昇する一方、表層塩分は1月上旬に最低値を示した後に上昇するが、4月に一時的に低下するなど、水温とは異なる挙動を示した。海表面のクロロフィルa濃度の気候値は3月中旬に増加し始めたが、年変動が大きかった。紋別沿岸域の海氷密接度から評価した流氷の後退時期は年によって47日の範囲で変動した。流氷接岸中もモニタリングを行った10年間の内、1年を除いて流氷域の後退から16日後までにクロロフィルa濃度は増加し、植物プランクトンブルームの状態となった(図2)。ブルームの開始時期は日照時間や風速など気象条件との関連は高くはなかったため、主として流氷の後退による海水中の光環境の改善によるためであると考えられた。このことから、オホーツク海沿岸域では流氷の後退が植物プランクトンブルームの開始にとって重要な要因であることが明らかとなった。
成果の活用面・留意点 冬季の調査・観測が制約されてきたオホーツク海において、1年を通した海洋環境の観測が定期的かつ長期間継続されてきたオホーツクタワーのモニタリングデータは貴重なデータである。本研究により沿岸域に流氷が来遊する時期の海洋環境や植物プランクトン量の年変動の解析に有用なことが明らかとなった。今後、他の季節での解析や沖合域との相互作用、道内の他海域との海洋環境の比較などへの利用が期待される。また、本研究で明らかになった海氷後退に伴う一次生産力の変動が動物プランクトンやホタテガイなど他の生物群集にどのように影響を及ぼすのか、他の観測データなども用いた評価に取り組むことを目指している。 
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028789
カテゴリ 季節変動 モニタリング リモートセンシング

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