健全な種子生産を維持するためのフタバガキ科林業樹種の択伐基準の改善

タイトル 健全な種子生産を維持するためのフタバガキ科林業樹種の択伐基準の改善
担当機関 (国研)国際農林水産業研究センター
研究課題名
研究期間 2011~2015
研究担当者 谷 尚樹
Lee Soon Leong
Lee Chai Ting
Ng Kevin Kit Siong
Muhammad Norwati
Kassim Abdul Rahman
Musa Samsudin
津村 義彦
発行年度 2016
要約 フタバガキ科4林業樹種について、種子の父性解析から得られた花粉散布・開花量のパラメータを用い、択伐後の他家受粉の減少量をシミュレーションにより推定した。その結果によれば、材密度が高い非早生樹種では他家受粉が大きく減少し健全な交配が維持できないため、択伐の伐採基準を現行よりも厳しくすることが望ましい。
キーワード フタバガキ林業樹種, 択伐基準, 花粉散布, 他家受粉, 森林更新
背景・ねらい 熱帯雨林から得られる資源、生態系サービスを維持し、持続的な森林経営を実現するためには、伐採後の二次林においても残存木による健全な種子生産と森林更新を持続させる必要がある。熱帯雨林では、ある程度の大きさ以上の有用樹種を抜き切りする択伐と呼ばれる収穫法が採用されている。マレーシア半島地区では、立木の蓄積を回復させて30年周期で択伐を繰り返せるように、フタバガキ科林業樹種の最低伐採サイズは直径50cmと定められている。しかし、この基準で伐採された後の二次林においてフタバガキ科の様々な林業樹種がそれぞれ健全に種子生産を行えるかどうかは未知である。ところで、それらの樹種のうち非早生樹種では直径50cm以下の小径木は繁殖に参加しておらず(国際農林水産業研究成果情報19: 15)、飛翔力の強い昆虫に送粉を依存する樹種では花粉散布パターンが開花個体の減少に比較的影響を受けにくいことが明らかになっている(同21: C-09)。そこで、生態的特徴の異なるフタバガキ4樹種について択伐後の母樹に到達する他家花粉の割合をシミュレーションすることにより、他家受粉によって健全な種子生産が行える択伐の条件を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 母樹に到達する他家花粉の択伐後の減少率を異なる択伐基準(最低伐採サイズ)毎に推定すると、早生樹種では現行択伐基準(直径50cm)で伐採しても約3割から8割の他殖花粉の散布が維持されるのに対し、非早生樹種では他殖花粉は2割以下に減少する(図1)。
  2. 樹種間に見られる材密度や繁殖開始齢、成長、寿命などの生態的特徴の違いが他家花粉による交配の成否に影響しているため、樹種を早生樹種・非早生樹種に分類し、分類群毎に択伐基準を定めることが望ましい。非早生樹種に対しては直径50cmより大きい木も残す厳しい択伐基準を定める必要がある(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 得られた知見はインドネシア等のフタバガキ科が優占する熱帯雨林を有する地域にも活用できる。また、フタバガキ科以外の樹種や同様に択伐が行われるアメリカやアフリカ大陸の熱帯雨林に対しても本手法を用いて樹種ごとにきめ細やかな択伐手法に改善することができる。
  2. シミュレーションでは伐採時に花粉散布パターンを伐採前と同じであると仮定しているが、実際には花粉散布パターンに変化が生じるので、シミュレーションの結果は目安と考える必要がある。
オリジナルURL https://www.jircas.go.jp/ja/publication/research_results/2016_c04
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028750
カテゴリ 経営管理 受粉 繁殖性改善

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