家庭用バイオガス発生装置は温室効果ガス排出削減と農家の便益を実現する

タイトル 家庭用バイオガス発生装置は温室効果ガス排出削減と農家の便益を実現する
担当機関 (国研)国際農林水産業研究センター
研究課題名
研究期間 2011~2020
研究担当者 泉 太郎
発行年度 2016
要約 途上国の農村部に家畜の排せつ物等を原料とする家庭用バイオガス発生装置を導入することは、温室効果ガスの排出削減と農家の調理用燃料経費の節減、労働時間の短縮など農家の便益を実現する気候変動緩和策である。
キーワード バイオガス発生装置, 温室効果ガス排出削減技術, 農家の便益, MRV
背景・ねらい クリーン開発メカニズム(CDM)により途上国における温室効果ガス(GHG)排出を削減する取り組みは重要であるが、炭素クレジット価格の低迷などにより現状では十分機能していない。緩和策を広く普及させるためには、農家がその利用によりメリットを実感できるものとする必要がある。家畜の排せつ物等を原料としてバイオガスを発生させる家庭用バイオガス発生装置(BD、図1)が、まずMRV(測定・報告・検証)可能な気候変動緩和策となり得るか、更に、農家の便益も実現する気候変動緩和策となり得るかを明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. ベトナムのメコンデルタにおいて、BDを導入した農家(435戸)のバイオガスの使用状況を1年間(2013年6月1日~2014年5月31日)モニタリングした結果、全体の95.7%の日でバイオガスが使用され、従前の調理用燃料が代替されることで、446 tCO2の排出削減となる。この削減量が国連CDM理事会により公認され、相当する炭素クレジット(CER)が2015年6月19日付けで発行されたことから、BD導入によるGHG排出削減はMRV可能である。
  2. BD導入により、調理用の薪及びLPガスの使用が抑制される(図2)。BD導入による調理用燃料使用量の削減結果から、1戸あたりのGHG排出量と調理用燃料への支出額の変化を求めると、それぞれ、1.87 tCO2/年、95米ドル/年の削減となり(表1)、農家はBDの使用から便益を得られる。
  3. BDを導入した農家に対するアンケート調査の結果によれば、99%の農家がBD導入に満足している。その理由として農家は、燃料経費節減や薪収集に要してきた時間の節約、調理時間の短縮などに加えて、健康改善、環境改善の効果を挙げている(図3)。
  4. 以上から、BDはMRV可能でかつ農家の便益も実現する気候変動緩和策と言える。
成果の活用面・留意点
  1. ベトナム政府の排出削減目標に関する「自主的に決定する約束草案(INDC)」には、バイオガスを含む農業分野からの排出削減が明記されており、INDCの具体化に際して本成果の活用が期待される。
  2. BD導入によるGHG排出削減量及び農家の便益は、農家が従前使用していた調理用燃料の種類及び量により変化する。
  3. BD導入のための初期費用は約180米ドル(材料費:140米ドル、労務費:20米ドル、技術支援に係る経費:20米ドル)、維持管理費は年間20米ドル程度と見込まれ、BDの使用を7年間継続した場合の便益は、農家の調理用燃料への支出額約2年分(200米ドル以上)に相当する。
オリジナルURL https://www.jircas.go.jp/ja/publication/research_results/2016_a01
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028738
カテゴリ 技術支援 くり モニタリング

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