侵入防止柵の接地部を直管パイプで補強することで、イノシシのくぐり抜けを防止できる

タイトル 侵入防止柵の接地部を直管パイプで補強することで、イノシシのくぐり抜けを防止できる
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 西日本農業研究センター
研究課題名
研究期間 2013~2016
研究担当者 江口祐輔
上田弘則
堂山宗一郎
石川圭介
発行年度 2016
要約 金網等の侵入防止柵の接地部分にビニールハウス用資材の直管パイプをつなげて地面に這わせるように金網と一体化させると、柵の接地部分の強度が増し、イノシシのくぐり抜けを防止できる。
キーワード 侵入防止柵、くぐり抜け防止、イノシシ、シカ、鳥獣害対策
背景・ねらい ワイヤーメッシュによる侵入防止柵は電気柵と並んで全国的に普及している柵であり、個人の農地を囲うだけでなく、地域を囲う広域柵としても利用されている。ワイヤーメッシュは被害低減効果を有するが、イノシシはワイヤーメッシュの地際部分を押して下をくぐり抜けることがほとんどである。
過去に「忍び返し柵」の開発によりイノシシの乗り越えや跳躍行動を制御しており、イノシシのくぐり抜けが主な侵入方法となっていることから、金網柵等の接地部にくぐり抜け防止技術を開発・導入し、効果を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 高さ1m、幅2m、線径3.2mm、目合い10cmのワイヤーメッシュを2m間隔で支柱をたてた一般的に用いられる侵入防止柵において、このワイヤーメッシュの接地部をくぐり抜けるのに必要な力量は、は平均32.3kg重であるのに対し、大型のオスのニホンイノシシが鼻や頭で物を押し上げたり、押す力量は最大で70kg重程度である(表1)。従って、接地部の補強をしていない金網はイノシシによって押し開けられる可能性が高い(図1)。
  2. くぐり抜け防止技術として図2に示すとおり、22mm径の直管パイプと支柱でワイヤーメッシュを挟む形ように、最下部で地面と平行に結束バンドを用いて20?25cm間隔で取り付ける。直管パイプ同士は接続させる。金網と一体化させると、柵の接地部分の強度が増し、このワイヤーメッシュの下部の補強部分に内側外側のいずれの方向に70kg重の力量をかけても、ワイヤーメッシュが破損することはない(図3)。
  3. 導入前にはイノシシの侵入がみられた試験地において、2年間、本技術を導入したところ、侵入は皆無である。また、農家にアドバイスをおこない、成果情報のように補強した柵については全て被害が止まっているが、補強していない柵では被害が継続している。
  4. 補強に使用した資材として、直管パイプの 価格は太さ22mm、長さ 5.5mで900~1000 円/本であり、結束バンド(インシュロック、耐候性黒色タイプ)は、長さ200mm 幅4.8mmで100本入りが300?400円で、1mあたりの資材費は220円程度となる。また、1mあたりの作業時間は1分?1分30秒である。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象: 農作物生産者。
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等: 全国のイノシシの被害を受けている農地、全国のイノシシ、シカの侵入防止のための広域柵を設置している地域。
  3. その他: 農地の凹凸が多く直線的な金属パイプが設置できない場合は緊張具によりテンションをかけた金属ワイヤーロープとペグを利用して、同様の効果が期待できる。
  4. 直管パイプをペグで地面に固定すればさらに強度は増す。
  5. 潮風のある地域や融雪剤が撒かれる地域で使用すると、亜鉛メッキの柵に塩基が反応し塩化亜鉛となりナイロン66の結束バンドが化学反応を起こし破断してしまうので、そのような地域では耐候性ポリプロピレンの結束バンドを使用する。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028737
カテゴリ シカ 鳥獣害

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