ムギ類の種子生産における黒節病管理技術

タイトル ムギ類の種子生産における黒節病管理技術
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業研究センター
研究課題名
研究期間 2013~2016
研究担当者 井上康宏
上松寛
青木一美
島田峻
横須賀知之
西宮智美
酒井和彦
庄司俊彦
橋爪不二夫
藤田絢香
山川智大
田畑茂樹
黒田克利
森充隆
西村文宏
河田和利
吉岡陸人
鍛治原寛
発行年度 2016
要約 ムギ類黒節病の防除には、種子消毒剤2剤、生育期散布剤1剤による薬剤防除、ハウス栽培、遅播き栽培による耕種的防除が有効である。これらの組み合わせにより、種子生産の段階に応じた防除体系が構築できる。
キーワード ムギ類黒節病、薬剤防除、ハウス栽培、遅播き栽培、種子検査
背景・ねらい 麦類黒節病は春先の気温が高く雨の多い日本に特有の病害である。本病は病原細菌の種子伝染が主な発生源であるが、圃場での二次伝染や種子への感染時期等の防除上重要な知見が乏しく、また、麦類は小麦と大麦の皮麦と裸麦の違いにより種子消毒の効果や薬害の程度が異なるため、効果的な種子消毒法や耕種的防除手法が開発されていなかった。このため、度々大発生して甚大な被害を引き起こしており、近年では採種圃場での発生が増加し、種子の安定供給を図る上で重大な問題となっている。そこで、すべての麦種に適応した種子消毒法を開発するとともに、種子伝染を抑えるための圃場管理技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 金属銀水和剤(シードラック水和剤)の20倍液10分間浸漬、1%湿粉衣、および塩基性硫酸銅水和剤(Zボルドー)の1%湿粉衣は、小麦と大麦のいずれに対しても薬害がなく、黒節病に対して防除効果を示す(図1)。
  2. 止葉抽出期以降の塩基性硫酸銅水和剤(Zボルドー)500倍3回散布は、茎葉での発病を軽減する。また、穂揃期以降に2回以上散布すると、黒節病菌の種子伝染を抑制する(表1)。
  3. ハウス栽培、標準播種時期の1か月程度の遅播き等の耕種的防除手法は黒節病の発生を減少させる(データ省略)。
  4. 薬剤防除及び耕種的防除手法の組み合わせにより、黒節病の発生を1%程度以下に抑制できる。また、防除手法の組み合わせを変えることで、種子生産の段階に応じた防除体系を構築できる(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象: 都府県の試験研究機関、種子生産公社、種子生産農家
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等: 北海道、東北、沖縄県を除く39都府県の原原種、原種を含む採種圃場2,000ha。
  3. これらの成果を取りまとめた黒節病管理技術はマニュアルとして公開されている(図3)。
  4. 金属銀水和剤(シードラック水和剤)は黒節病防除効果が高いが高額であり、塩基性硫酸銅水和剤(Zボルドー)は効果が劣るが安価であるため、使用する種子の黒節病菌保菌率や使用面積に応じて選択できる。
  5. 塩基性硫酸銅水和剤(Zボルドー)の散布剤としての小麦への使用は種子生産圃場に限定される。
  6. 新規開発した高精度の黒節病保菌粒率検査法を用いて生産種子を調べることで、次作での種子生産栽培において効果的な防除手法を選択することができる(詳細はマニュアル参照)。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028692
カテゴリ 大麦 管理技術 小麦 種子消毒 播種 圃場管理 防除 薬剤

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