北海道における省力化のための水稲疎植栽培技術

タイトル 北海道における省力化のための水稲疎植栽培技術
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター
研究課題名
研究期間 2013~2016
研究担当者 林 怜史
佐々木 亮
発行年度 2016
要約 北海道における中生品種の移植水稲栽培において慣行栽培と同程度の収量、産米品質を維持可能な栽植密度は約15株/m2(泥炭土以外)または約18株/m2(泥炭土)である。疎植では2.4日から5.2日の早期移植をすることで標準植と同程度の出穂期となる。
キーワード イネ、疎植栽培、タンパク含有率、整粒歩合、未熟粒
背景・ねらい 本州以南の水稲移植栽培では、省力化技術として疎植栽培が広がりを見せているが、生育期間が短い北海道では、初期生育を確保し、収量、玄米品質を維持するために密植栽培が推奨されてきた。しかし近年では、担い手不足に伴う規模拡大などのため、育苗にかかる労力が確保できないといった問題が生じてきている。このような問題への対策として直播栽培があるが、専用の機械や新たな技術の習得が必要になる、上川・空知地域では主力となる中生品種は直播栽培に適さないなどの課題があり、普及は限定的である。一方、移植機の設定を変えるだけで実行可能な疎植栽培は、移植栽培体系を採る多くの生産者にとって導入しやすい省力化技術である。そこで、本研究では、北海道において疎植栽培のリスクを示したうえで、慣行栽培と同程度の収量、産米品質を維持可能な疎植栽培条件を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 泥炭土以外では、標準植区(約22~25株/m2、株間12~14cm)に対する疎植区(約15~17株/m2、株間18~20cm)の減収は認められない(表1)。泥炭土の疎植区における収量は標準植区と比較すると低いが、やや疎植区(約18~20株/m2、株間15~17cm)における減収は認められない。
  2. 標準植区と比較すると、やや疎植区、疎植区のタンパク含有率は同程度であるが、超疎植区(約11~12株/m2、株間25~28cm)では最大で0.3ポイントのタンパクの増加がみられる(表1)。疎植区、超疎植区の整粒歩合は、標準植区と比較するとそれぞれ最大で2.6ポイント、7.1ポイント低下する。
  3. 「ななつぼし」中苗において、株あたり植え付け本数を減らすと登熟歩合の低下により減収する年次がある(表2、2013年)ため、株あたり植え付け本数の削減は避ける。
  4. 登熟期(出穂翌日から収穫)積算気温900°C以上では一穂籾数100粒でも70%以上の整粒歩合が得られるが、900°C未満では一穂籾数70粒以上で整粒歩合は70%以下となる(図1)。超疎植区の一穂籾数は70粒以上となる場合が多く、低温年において整粒歩合が70%を下回る危険性がある。
  5. 「ななつぼし」、「そらゆき」の成苗、中苗について、栽植密度ごとの推定移植晩限を表3に示す。90%以上の晩限内出穂安全率(移植日から出穂期までに必要な簡易有効積算気温が出穂晩限までに確保される確率)を得るためには、疎植では標準植と比較して2.4日から5.2日の早期移植が必要となる。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:北海道において「ななつぼし」または「そらゆき」を栽培する生産者
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:北海道の水稲栽培地帯において1000ha
  3. その他:株間は北海道仕様(条間33cm)の移植機を用いた場合の値である。疎植では、標準植に比べて約3割の育苗箱数削減が可能であり、省力化が図られる。産米品質維持のため、側条施肥、分げつ期の浅水管理など、分げつ促進のための基本技術を励行する。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028691
カテゴリ 育苗 規模拡大 栽培技術 栽培条件 栽培体系 省力化 直播栽培 水稲 施肥 品種 水管理

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