搾乳ロボットと飼料生産等の外部化による酪農収益性向上の可能性と条件

タイトル 搾乳ロボットと飼料生産等の外部化による酪農収益性向上の可能性と条件
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究課題名
研究期間 2013~2015
研究担当者 千田雅之
発行年度 2015
要約 ロボット等による搾乳および飼養管理の省力化と飼料生産等の外部化等により、夫婦1世代で経産牛約120頭の飼養と収益性の高い酪農が可能となる。ただし、高泌乳牛飼養となるため収益確保にはICT等を活用した個体の観察・管理の充実が必要である。
キーワード 搾乳ロボット、ICT、個体管理、飼料コントラクター、収益性
背景・ねらい 酪農経営では労働力の減少するなかで、ロボット等による搾乳および飼養管理の省力化や飼料生産等の外部化による労働生産性の向上が期待されている。他方、これらの技術導入等は新たな費用負担を伴う。そこで、搾乳ロボット等の導入を図っている事例を対象に、作業労働のタイムスタディや会計データをもとに、これらの技術導入による省力化や生乳生産コスト、収益性を解明するとともに、高収益の実現に必要な条件について明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 事例牧場は北海道十勝地域で、経営主夫婦2名と常雇1名、実質2.5人の労働力で、乳用種経産牛約120頭を飼養する。1人あたり生乳生産量および売上高は、北海道の同一飼養規模の約2倍である。この高い労働生産性は、1)コントラクターへの飼料収穫等の委託(収穫調製作業料金:5万円/ha)、2)TMRミキサーや餌寄せロボット等による飼料の調理・給与の省力化、3)ロボット(3千万円)による搾乳や子牛哺乳の省力化、4)公共牧場への育成牛の預託(230円/日/頭)により達成されている(表1,表2)。
  2. ロボットの搾乳能力(6分/回/頭)から、事例ではロボットによる搾乳牛は約6割(60頭)に止まるが、経営全体の搾乳作業は1頭あたり18.6時間であり、北海道平均の2分の1以下である。他方、敷料搬入、厩肥搬出作業はやや多い。ロボットの昼夜多回搾乳により1頭あたり搾乳量が多いため、生乳10tあたり労働時間は北海道平均よりも約6割少ない(表3)。
  3. TMRミキサーや搾乳ロボットなど多くの施設や機械、器具を備えるため、建物農機具等償却費は多く、これらを稼働させる光熱費も多い。また、育成牛飼養や粗飼料収穫の外部委託を行うため賃借料及び料金も多い。さらに、多回搾乳により高泌乳牛飼養となるため濃厚飼料等の購入飼料費も多い。この結果、1頭あたり物財費は北海道平均より約17万円多い。しかし、個体乳量が多いため、生乳1kgあたり費用合計は、都府県平均よりも約20円、北海道平均よりも8.6円少なく、所得は約2,200万円に達する(表4)。
  4. 高泌乳牛は事故や疾病のリスクが高くなるため、5か月間隔の削蹄、蹄浴槽の設置、ゴム製マットの敷設、冬季の床暖房、1日2回のベットの掃除、スクレーパによる3時間ごとの通路排せつ物の掻き寄せ等、蹄を中心とする搾乳牛の衛生管理を徹底する。また、ICTを活用しPCに送られてくる個体ごとの乳質や搾乳経過時間、搾乳量と採食量、発情兆候等を頻繁にモニタリングし、生乳品質の向上、体調不良牛の早期発見、適切な給餌量と無駄な飼料の節約、繁殖管理等に活用する(表2)。この結果、たとえば分娩間隔は、北海道の100頭規模以上の経営平均429日と比べて事例では416日と短い。
成果の活用面・留意点
  1. 労働生産性および収益性の高い酪農経営方式および生産管理の要点として、生産者、行政、普及指導者の活用が期待される。
  2. 年間の償却費が2千万円を超すなど同方式の導入には多くの資金が必要である。
  3. 濃厚飼料多給の飼養となることが多く、輸入飼料価格による収益への影響が強い。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028648
カテゴリ ICT 経営管理 コスト コントラクター 削蹄 飼育技術 省力化 乳牛 繁殖性改善 モニタリング ロボット

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