フィンランドSiilinjärvi産金雲母施用は玄米への放射性セシウム移行を低減する

タイトル フィンランドSiilinjärvi産金雲母施用は玄米への放射性セシウム移行を低減する
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究課題名
研究期間 2013~2015
研究担当者 江口哲也
太田健
石川哲也
松波寿弥
久保堅司
信濃卓郎
発行年度 2015
要約 フィンランドSiilinjärvi産金雲母の施用は土壌のカリ可給性及び放射性セシウムの選択固定能を高め、玄米への放射性セシウム移行を低減する。金雲母の移行低減作用はゼオライトより高く、移行低減資材として有望である。
キーワード 移行低減資材、非交換性カリ、水稲、放射性セシウム濃度、金雲母
背景・ねらい 雲母は主要な造岩鉱物であり、土壌中にも広く分布している。雲母はさらに、金雲母や白雲母などの鉱物種に細分され、工業原料として各地で採掘されている。雲母は全重量の10%程度のカリを含み、そのカリは酢酸アンモニウムでは抽出されない「非交換性カリ」であるが、植物によるカリ吸収に伴い可給化することが知られている。フィンランドSiilinjärvi産金雲母は安価で流通しており、有機農業向けのカリ肥料としても利用されている。金雲母は土壌中で徐々にカリを放出し、放射性セシウム選択固定能の高いバーミキュライトへと変化し、土壌のカリ可給性と放射性セシウム固定能を高める効果が期待される。そこで、金雲母の放射性セシウム移行低減資材としての効果を評価する。
成果の内容・特徴
  1. 金雲母の施用により、玄米への放射性セシウム移行係数は顕著に低下する(図1)。その効果は移行低減資材として使用されるゼオライトより高い(図1)。
  2. 栽培前土壌の交換性カリ含量と放射性セシウム移行係数の間には相関が見られず(図2)、非交換性カリを抽出可能なテトラフェニルほう酸(TPB)抽出カリ含量と放射性セシウム移行係数の間に強い負の相関が見られる(図3)。
  3. 土壌の1M酢酸アンモニウム抽出による交換性放射性セシウム濃度は、水稲の栽培により多くの場合は増加するが、金雲母を土壌の1wt%施用した場合は減少する(図4)。金雲母がカリを放出することによりバーミキュライトへと変化し、放射性セシウムを固定したものと考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 金雲母はカリを放出後バーミキュライトへと変化し、高いCECや放射性セシウム選択固定能を示すため、土壌のCECが低くカリ溶脱の激しい圃場や、土壌の放射性セシウム選択固定能が低い圃場で高い移行低減効果が期待される。
  2. 本研究で用いた金雲母はフィンランドSiilinjärvi産であり、土壌は137Cs濃度5,200 Bq/kgの灰色低地土である。雲母の性質は産地により大きく異なるため、その他の産地の金雲母では移行低減効果が異なる可能性がある。
  3. Siilinjärvi産雲母の価格は、2016年1月時点で移行低減資材として用いられるゼオライトの約2.5倍であり、カリ含量はゼオライトの5~6倍である。
  4. 金雲母を施用した土壌のカリ可給性は、酢酸アンモニウム抽出では評価できず、TPB抽出により評価する必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028625
カテゴリ 水稲

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