一口に入れる食品量で食べる速度や咀嚼回数をコントロールする

タイトル 一口に入れる食品量で食べる速度や咀嚼回数をコントロールする
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所
研究課題名
研究期間 2011~2015
研究担当者 神山かおる
早川文代
高智紅
風見由香利
西成勝好
船見孝博
石原清香
中尾理美
発行年度 2015
要約 よく噛むと食品を味わえ、健康にも良い。様々な食感をもつゲル状食品において、一口に入れる量を半分に減らすごとに咀嚼回数や摂食時間が0.7倍になるという関係が広く成り立つ。筋電位は、少量ずつ食べると一食当たりの咀嚼量が増えることを示している。
キーワード テクスチャー、ゲル状食品、咀嚼、筋電位、摂食時間
背景・ねらい 食品のテクスチャー(食感)は美味しさにとって重要なだけでなく、食べる速度や安全に摂食できるか否かにも関係する。最近は、メタボリックシンドローム該当者が早食いしにくい食品、高齢者が食べやすい介護食、小児や高齢者が窒息事故を起こしにくい食べ方等が求められている。 本研究では、噛んで食べる食品のモデルとして、テクスチャーや一口に食べる量を制御しやすい多糖類を配合したゲルを用いる。自然な摂食をしているヒトの咀嚼筋筋電位測定により、食べやすさに関わる因子を定量的に明らかにすることを目標とする。
成果の内容・特徴
  1. ヒトの摂食中の筋活動は、非侵襲な表面筋電位で調べる(図1)。これまで主に測定されてきた閉口筋である両側の咬筋に加えて、開口や舌の活動を反映する舌骨上筋群の筋電位を測定可能である。
  2. 咬筋の筋電位は、噛みしめる力の強さに対応しており、かたい食品で、また咀嚼初期が後期に比べて、大きく出現する傾向がある。舌骨上筋群の筋電位は、付着性の高い食品や、破壊後にまとまりにくい食品でより強く、摂食後期に大きくなる傾向がある。
  3. 機器測定により市販ゲル状食品の力学特性を広くカバーし、官能評価により食べにくさの要因が異なると分析された5種類のゲルをモデル食品として用いる(図2)。食べにくいゲルほど摂食時間が長く、咀嚼回数が増加し、一噛みの筋電位が大きくなる。
  4. スプーン1杯に相当する6gを一口に入れ、自由咀嚼時の筋電図を測定し、3gの時と比較する。力学特性が異なるいずれのゲルでも、一口量が半分になると、一噛み当たりの筋活動が有意には変化せずに、咀嚼回数や摂食時間が約0.7倍になる(図2)。
  5. 摂食時間を決定するゲルの力学特性を明らかにするため、破壊荷重が同等で、弾性率が高い寒天ゲル(A:脆いゲル)と、破壊ひずみやエネルギーが高い市販コンニャク入りゼリーに近い配合ゲル(K:噛み切りにくいゲル)を調製する。図3のように、AゲルとKゲルの咀嚼回数や摂食時間が一致することから、破壊荷重が摂食時間を決めており、食べやすさに最も影響が大きい力学特性であることが示唆される。
  6. 自由摂食中の筋電位から、一口量3~24 gの広い範囲で、一口量を半分にするごとに咀嚼回数や摂食時間が0.7倍になるという関係が観察される(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 食品の一口量により、食品を改変せずに、食べやすさや摂食速度を調節できる。
  2. 米飯も多糖類である澱粉ゲルと考えられるが、米飯や粥でも同様の傾向が認められる。
  3. 小さいスプーンで食べる等、一口量を小さくすれば、同じ食品でもよく噛んで食べることになり、早食いを防ぐ効果が期待できる。
  4. 摂食機能が低下した人には少量ずつ食べさせることが多いが、摂食時間の延長により、たくさん食べられなくなるので、低栄養に陥らないよう考慮が必要である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028590
カテゴリ こんにゃく

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