牛乳汁から分離されたMycoplasma argininiの全ゲノム配列の決定

タイトル 牛乳汁から分離されたMycoplasma argininiの全ゲノム配列の決定
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究課題名
研究期間 2014~2015
研究担当者 秦英司
発行年度 2015
要約 マイコプラズマは様々な牛疾病に関与するが、Mycoplasma argininiは牛では非病原性のマイコプラズマ種である。M. argininiのゲノム情報には、マイコプラズマの主要な病原因子とされる莢膜合成ならびに活性酸素の産生に関わる遺伝子群が認められない。
キーワード Mycoplasma arginini、ゲノム解析
背景・ねらい Mycoplasma bovisM. californicumなど多くのマイコプラズマは、牛の呼吸器病、乳房炎、関節炎、中耳炎等様々な疾病の原因となるが、これらによる発病機構は未解明な部分が多い。一方、M. argininiは牛呼吸器、生殖器、乳汁等から分離されるが、疾病とは無関係の非病原性マイコプラズマと考えられている。M. argininiのゲノム情報は、病原性牛由来マイコプラズマのゲノム情報を比較解析する際に、基盤情報として活用可能である。本研究では、国内で分離された牛乳汁由来のM. argininiについて全ゲノム配列を決定し、遺伝学的特徴を解明する。
成果の内容・特徴
  1. 2008年にわが国の牛乳房炎乳から分離されたM. arginini HAZ145_1株は、ゲノムサイズは678,592bpと牛マイコプラズマの中でも小さく、プラスミドの存在は認められない(図1、表1)。
  2. M. arginini HAZ145_1株には蛋白質をコードしていると考えられる遺伝子(CDS)が518個、偽遺伝子が10個、tRNA遺伝子が33個、rRNA遺伝子オペロンが2組存在している(図1)。また、アルギニン分解性マイコプラズマのエネルギー産生について主要な役割を果たすと考えられるアルギニン加水分解経路関連酵素群およびacetate kinaseの遺伝子はコードされている。一方、牛に重篤な臨床症状を惹起する牛肺疫マイコプラズマ(M. mycoides subsp. mycoides)や牛に多様な病態を惹起するM. bovisの主要な病原遺伝子と考えられる莢膜合成酵素遺伝子群ならびに活性酸素産生酵素遺伝子群は欠損している(表1)。
  3. ドラフトゲノムおよび全ゲノムが公表されているマイコプラズマ種の中で、M. arginini HAZ145_1株と近縁なのはM. canadenseおよびM. alkalescensである。近縁菌種それぞれの菌株間では90%以上のCDSが互いに最も高い相同性を示す。一方、本菌株のCDSは、牛肺疫マイコプラズマやM. bovis のCDSに対しての相同性が低い。
成果の活用面・留意点
  1. M. argininiの非病原性は、莢膜合成ならびに活性酸素の産生に関わる遺伝子群の欠損が関与していると考えられる。一方、牛由来マイコプラズマの病原性にはこれら以外の遺伝子の関与も推測される。
  2. 本研究で解明されたゲノム情報はDDBJ/EMBL/GenBankのデータベースに登録および公開済であり(accession no.:AP014657 [M. arginini HAZ145_1株])、誰でも本情報の活用が可能である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028543
カテゴリ データベース

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