近縁野生種由来の耐湿性を持つトウモロコシ新品種「那交907号」

タイトル 近縁野生種由来の耐湿性を持つトウモロコシ新品種「那交907号」
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究課題名
研究期間 2012~2015
研究担当者 玉置宏之
佐藤尚
間野吉郎
高橋亘
三ツ橋昇平
発行年度 2015
要約 「那交907号」はトウモロコシの近縁野生種テオシント由来の耐湿性の関連形質"地表根形成能"を導入した親自殖系統「Na110」を種子親に持つ中生品種である。既存品種に比べて湿害が発生しやすい条件での生育が良好である。
キーワード 耐湿性、地表根形成能、テオシント、トウモロコシ、飼料作物育種
背景・ねらい サイレージ用トウモロコシは収量性と栄養価に優れるが、耐湿性が劣るため水田転換畑などへの作付けが十分に進んでいない。そこで、トウモロコシの近縁野生種テオシントの一種Zea mays ssp. huehuetenangensis (以下hue)由来の"地表根形成能"を導入することにより、湿害が発生しやすい条件での生育が良好なF1品種を育成する。
成果の内容・特徴
  1. 地表根形成能とは、湛水時に比較的酸素濃度が高い地表付近により多くの根(不定根)を出す能力であり(図1)、これにより根の酸素獲得が容易になるため、植物体全体の耐湿性が高まる。
  2. 「那交907号」は自殖系統「Na110」と自殖系統「Mi47」との単交雑一代雑種である。「Na110」は、自殖系統「Mi29」へhueの地表根形成能を戻し交配により導入した系統である。
  3. 「那交907号」の絹糸抽出期は「ゆめそだち」並で、「ゆめちから」より4日遅く、早晩性は「ゆめそだち」と同じ"中生"に属する。乾物総重は「ゆめそだち」並で、「ゆめちから」より多い。乾雌穂重割合は「ゆめそだち」「ゆめちから」より低い。
  4. ごま葉枯病は「ゆめそだち」並で「ゆめちから」よりやや弱く、すす紋病は「ゆめそだち」「ゆめちから」より弱い。根腐病は「ゆめそだち」「ゆめちから」より強い。耐倒伏性は「ゆめそだち」より強く、「ゆめちから」並である(表1)。
  5. 6葉期以降での約18日間の湛水処理を行う圃場試験では、「那交907号」は「ゆめそだち」に比べ、絹糸抽出期が2日早く、乾物総重が4%多い(表2)。湛水処理期間中の地上部乾物増加量は、同日播種した一般畑圃場では「那交907号」は「ゆめそだち」「ゆめちから」に比べてやや少ないが、湛水処理圃場では多い。これらのことから「那交907号」は「ゆめそだち」「ゆめちから」より湿害が発生しやすい条件での生育が良好である(表3)。
成果の活用面・留意点
  1. 東北南部以南の春播き栽培、特に水田転換畑など湿害を受けやすい条件での栽培に適している。
  2. 発芽前を含む6葉期以前の生育時期の圃場レベルでの耐湿性は未確認である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028540
カテゴリ 育種 ごま 湿害 飼料作物 新品種 水田 耐湿性 とうもろこし 根腐病 播種 品種

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