トウモロコシの耐湿性育種に利用可能な湛水・還元耐性に関与する遺伝子座

タイトル トウモロコシの耐湿性育種に利用可能な湛水・還元耐性に関与する遺伝子座
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究課題名
研究期間 2008~2015
研究担当者 間野吉郎
佐藤尚
玉置宏之
黄川田智洋
三ツ橋昇平
高橋亘
発行年度 2015
要約 トウモロコシの近縁野生種テオシントの一種"Zea nicaraguensis"は第4染色体長腕に湛水・還元耐性に関与する量的形質遺伝子座"Qft-rd4.07-4.11"を持つ。Qft-rd4.07-4.11は相加効果が大きく、トウモロコシの耐湿性向上に利用できる。
キーワード 耐湿性、湛水・還元耐性、テオシント、トウモロコシ、量的形質遺伝子座(QTL)
背景・ねらい わが国におけるトウモロコシの生産量を拡大するためには水田転換畑における作付け・増産が必要であるが、その際に生じる湿害が生産の障害となっている。また近年の気候変動による多雨で、畑作物の湿害がさらに深刻になることが懸念される。トウモロコシの近縁野生種テオシントの一種"Zea nicaraguensis"(以下nica)は耐湿性が強く、トウモロコシに耐湿性を付与するための重要な遺伝資源と考えられる。そこで、nicaの持つ耐湿性関連形質の1つである湛水・還元耐性(湛水により土壌が還元状態になった場合の耐性)に関与する量的形質遺伝子座(QTL)を探索するとともにその遺伝様式を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 染色体部分置換系統(IL, Introgression Line)のシリーズ45系統は、トウモロコシ自殖系統「Mi29」の遺伝背景にnicaの様々な染色体断片を導入して、シリーズ全体でnicaの全ゲノムをカバーしている(図1)。
  2. 「IL#18」は、ILのシリーズ45系統の中から湛水・還元条件下における地上部の葉枯れ程度を指標にして選抜した湛水・還元耐性が強い系統である(図2)。この系統は、湛水・還元耐性に関与するQTL (Qft-rd4.07-4.11) を含むnicaの第4染色体の長腕(bin4.07-4.11)の染色体断片を持っている(図1)。
  3. Qft-rd4.07-4.11をホモで持つF1系統 [「IL#18」×「BC3#90」(自殖系統「Mi47」にQft-rd4.07-4.11を導入したBC3F2系統)]は、Qft-rd4.07-4.11を持たないF1品種「ゆめちから」(「Mi29」×「Mi47」)よりも葉枯れ程度を指標とした湛水・還元耐性が強い。また、Qft-rd4.07-4.11をヘテロで持つF1系統(「Mi47」×「IL#18」)はそれらの中間であることからQft-rd4.07-4.11の遺伝様式は相加効果が大きい(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. ILのシリーズは、耐湿性に関連する形質、農業形質のマッピングや準同質遺伝子系統の作出に利用できる。
  2. Qft-rd4.07-4.11はトウモロコシの耐湿性向上に利用できる。
  3. Qft-rd4.07-4.11は、組み換えが起こらない領域(約60Mb)に座乗しており、その領域にnicaの他の形質に関する遺伝子がある場合には除去することが困難である。
  4. Qft-rd4.07-4.11は、湛水・還元条件下の幼植物検定において葉枯れ程度を指標とした場合に効果があるが、湛水・還元耐性を地上部乾物重の対照区比など他の指標で評価した場合のQft-rd4.07-4.11の効果については検証中である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028537
カテゴリ 育種 遺伝資源 湿害 水田 耐湿性 とうもろこし 品種

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