連鎖不平衡の程度を考慮したゲノム情報に基づく遺伝的能力評価法の開発

タイトル 連鎖不平衡の程度を考慮したゲノム情報に基づく遺伝的能力評価法の開発
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究課題名
研究期間 2014~2015
研究担当者 西尾元秀
佐藤正寛
発行年度 2015
要約 連鎖不平衡の程度を考慮するために開発した、すべての1塩基多型マーカーに3通りの方法で重み付けを施した3つのゲノミックBLUP法は、ゲノミック育種価および遺伝分散の推定精度を向上させる。
キーワード ゲノム情報、連鎖不平衡、遺伝的能力評価、推定精度
背景・ねらい ゲノム上に存在する数万規模の1塩基多型(SNP)マーカーを用いて、家畜の遺伝的能力を評価するゲノミックBLUP(GBLUP)法が乳牛を中心に実用化されつつある。GBLUP法では、SNPマーカーと量的遺伝子座(QTL)が完全に連鎖していること、QTL間は完全に連鎖平衡であること、すべてのQTL(あるいはSNPマーカー)の分散が等しいことを仮定している。しかし、連鎖不平衡の程度は染色体の領域によって異なっており、GBLUP法による遺伝的能力評価値(ゲノミック育種価:GEBV)に偏りが生じる原因となる。そこで、連鎖不平衡の程度をSNPマーカーへの重み付けで考慮したGBLUP法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. シミュレーションデータを用いて、3つのGBLUP(GBLUP-LD1、GBLUP-LD2およびGBLUP-LD3)法の性能を検証する。
  2. GBLUP-LD1法は、すべてのSNPマーカーにおける連鎖不平衡係数と重み付け値との積が1になるように算出する。GBLUP-LD2法は、線形計画法で重み付け値を算出する。GBLUP-LD3法は、連鎖不平衡係数の総和の平方根の逆数から重み付け値を算出する。
  3. 3つのGBLUP-LD法は、QTLが存在する領域の連鎖不平衡の程度が弱いほど、GBLUP法と比べて、分散成分およびGEBVの推定精度(正確度)が大きく向上する(表1)。特に、GBLUP-LD1法およびGBLUP-LD 2法の推定性能が優れている。
  4. GBLUP-LD1法は、遺伝率が低いほど、GBLUP法に比べて正確度が高い(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 世代を重ねて選抜を続けていくと、連鎖不平衡の程度が弱い領域に存在するQTLの割合が多くなることが知られており、いずれGBLUP法の推定性能は低下する。長期にわたる選抜では、開発した3つのGBLUP-LD法を活用することが有効である。
  2. 膨大な数のSNPマーカーを利用する場合には、他の2つの方法よりも計算負荷が極めて少ないため、GBLUP-LD3法の実用性が高い。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028530
カテゴリ 育種 乳牛 評価法

この記事は