夜間帯のトリプトファン静脈内投与は子牛のメラトニン分泌を増加させる

タイトル 夜間帯のトリプトファン静脈内投与は子牛のメラトニン分泌を増加させる
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究課題名
研究期間 2011~2015
研究担当者 新宮博行
櫛引史郎
林征幸
小林寿美
山地佳代子
発行年度 2015
要約 昼間帯にトリプトファンを子牛の静脈内に投与してもメラトニンの分泌量は変化しないが、夜間帯ではメラトニンの分泌量を顕著に増加させる。
キーワード トリプトファン、明暗環境、メラトニン、静脈内投与、子牛
背景・ねらい トリプトファン(Trp)は体タンパク質源として利用される以外に、抗酸化および成長ホルモン(GH)分泌促進作用をもつメラトニン(MEL)の合成基質となるアミノ酸である。反芻家畜におけるMELの分泌には、齧歯類と同様に、明暗に制御される概日リズムが存在することが知られているが、基質となるTrpの体内供給量の変化による明暗環境とMEL分泌との関連についてはまだ十分明らかにされていない。
そこで、本研究では、Trp溶液の投与時間帯を昼間帯と夜間帯の2区に分け、明暗環境下におけるGH、MEL分泌量への影響について明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 3ヵ月齢の乳用種雄子牛4頭(平均体重102 kg)を用いて、夏季の昼間帯(12時-14時)又は夜間帯(19時-21時)に溶媒(対照区)又はL-Trp溶液(Trp区、L-Trp:36 mg/kg体重)を子牛の頸静脈から120分間連続定速投与し、他方の頸静脈から経時的採血することにより、投与開始から210分間のホルモン濃度および分泌変動量(指標:net AUC)を比較する。
  2. 牛舎内は自然光の入射を除き終日消灯とし、昼間帯試験での平均照度(lx)については、試験開始時で対照区が1,340、Trp区が1,390、終了時で650、690であり、一方、夜間帯試験では、開始時で対照区が10、Trp区が20であり、終了時で両区とも0である。
  3. GH net AUCは、昼間帯試験において対照区、Trp区の間で有意な差を認めないが、夜間帯試験では、Trp区の方が対照区よりも高くなる傾向が認められる(p < 0.1)(図1)。
  4. 血漿MEL濃度は、昼間帯試験において対照区、Trp区とも投与後の上昇は見られないが、夜間帯試験では投与120、180、210分後にTrp区が対照区より有意に高くなる(p < 0.05)(図2)。
  5. MEL net AUCは、昼間帯試験において対照区、Trp区の間で有意な差を認めないが、夜間帯試験ではTrp区のMEL net AUCは対照区に比べ約2倍高まる(p < 0.05)(図3)。
  6. これらの結果から、昼間帯におけるTrpの供給は子牛のMEL分泌にはほとんど影響を与えないが、夜間帯での供給はMELの分泌を顕著に促進させると考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. Trpの夜間投与により子牛の発育促進を可能にさせる飼養管理技術の開発に繋がる。
  2. 本研究成果はTrpの静脈内投与試験によるものであり、飼料添加物等として経口的に摂取させた場合のGH、MEL分泌に対する効果についても検討を要する。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028520
カテゴリ 飼育技術

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