ルーメン内繊維分解部分では特定の糖質加水分解酵素群の遺伝子発現が高い

タイトル ルーメン内繊維分解部分では特定の糖質加水分解酵素群の遺伝子発現が高い
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究課題名
研究期間 2011~2015
研究担当者 真貝拓三
三森眞琴
Ahmad Sofyan
金森裕之
佐々木晴美
片寄裕一
竹中昭雄
発行年度 2015
要約 ルーメン細菌群は3つのセルロース分解酵素群および7つのヘミセルロース分解酵素群の主作用で植物繊維を分解している。繊維分解部分では、セルロース鎖から離れることなくセルロースを効率的に分解するセルラーゼ遺伝子の発現量が多い。
キーワード 反すう家畜第一胃、繊維分解酵素、ルーメン細菌、遺伝子発現、網羅解析
背景・ねらい 反すう家畜飼養では主要なエネルギー源として粗飼料(植物繊維)が利用される。植物繊維の分解は第一胃(ルーメン)内に共生する微生物に依存しているため、微生物による繊維分解メカニズムを知ることで粗飼料分解の改善が期待できる。
主要な繊維分解者であるルーメン細菌群は植物繊維に付着して繊維を分解するため、繊維分解中の細菌を含む繊維画分とそれ以外の画分(液体画分)に分けて比較解析することで、繊維分解部分における繊維分解メカニズムの特徴を知ることができる。
植物繊維はセルロースを構造骨格とし、その周りをヘミセルロースが支えている。そこで、ルーメン細菌群の遺伝子発現について、これら構造体を分解する糖質加水分解酵素群(glycoside hydrolase family: GH)に基づいて比較解析する。
成果の内容・特徴
  1. ルーメンカニューレを装着したホルスタイン種乾乳牛3頭(平均体重548 ± 27 kg)に、チモシー乾草(Phleum pretense, 切断長5cm)および濃厚飼料の混合飼料(4:6, w/w)を4週間に渡り一日2回給与する(0930および1630)。給与最終日の朝給餌前にルーメン内容物を採取し、繊維画分および液体画分に分けた後、細菌叢および遺伝子発現を網羅的に比較解析する。
  2. 繊維画分は液体画分に比べて、主要な繊維分解菌種であるFibrobacteraceaeおよびFirmicutesに由来する糖質加水分解酵素群の遺伝子発現量が多い(図1)。
  3. 繊維画分でのセルロース分解酵素の遺伝子発現量は、3つの糖質加水分解酵素群(GH9、5、および8)で多く、またセルロース主鎖から離れにくい構造を持つ一部のGH9および48が特徴的に多い(図2)。
  4. ヘミセルロース分解酵素の遺伝子発現量は、キシラン主鎖を分解する酵素群が多いが(GH10および11)、キチン(GH18)、グルクロノアラビノキシランやグルカン(GH30)、リケニン(GH16)、マンナン(GH28)、およびアラビノガラクタン(GH53)も同程度に多い。GH30およびGH11は繊維画分に特徴的な遺伝子発現である(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. ルーメン内における繊維分解メカニズムの一端を、ルーメン細菌の遺伝子発現レベルで明らかにした基礎研究情報である。
  2. 遺伝子発現は、粗飼料の種類および試料採取時間により変動する可能性がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028518
カテゴリ 乳牛

この記事は