茶園に生息する有用天敵カブリダニ類の生息密度を推定する方法

タイトル 茶園に生息する有用天敵カブリダニ類の生息密度を推定する方法
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所
研究課題名
研究期間 2010~2015
研究担当者 豊島真吾
萬屋宏
佐藤安志
発行年度 2015
要約 茶園において、定期的に560葉を採取するか、70個のファイトトラップを株元に7日間設置して採集されるカブリダニ類を種ごとに計数すると、カブリダニ類の生息密度や種構成を推定できる。
キーワード 有用天敵、カブリダニ類、調査法、茶園、ファイトトラップ
背景・ねらい 茶園で有用な天敵であるカブリダニ類の定着が確認されれば、チャ害虫カンザワハダニの密度抑制が期待され、一番茶前のハダニ防除剤の散布が削減されるなど、経済的な環境保全型茶生産体系の構築が可能である。ところが、これまで茶園におけるカブリダニ類の発生生態の解明や生息密度を推定するための標準的な調査法はない。そこで、茶園におけるカブリダニ類の具体的な調査基準を提示する。
成果の内容・特徴
  1. カブリダニ類の生息密度や種構成を推定するには、葉を採取して生息するカブリダニ類を種ごとに計数するか、カブリダニ捕獲用のファイトトラップ(図1上)で捕獲される個体を計数する。これらは見取り法やたたき落とし法よりも効率的である(表1)。
  2. 発生生態の解明を目的とする推定精度を得るには、定期的に560葉をうね側面から採取し、葉に生息するカブリダニ類を実体顕微鏡下で計数する。予備調査などで生息密度を予測できる場合には、560葉(0.002頭/葉)、370葉(0.01頭/葉)、300葉(0.02頭/葉)、250葉(0.04頭/葉)、210葉(0.08頭/葉)などを目安として調査葉数を減らして労力を軽減する。
  3. ファイトトラップは、茶樹の株元の枝(地上高20cm程度、図1下)に7日間設置し(図2)、午前中もしくは夕方のいずれかに統一して回収する。トラップは小さくて見つけにくいので、設置場所に目印などをつける。
  4. ファイトトラップを使ってカブリダニ類の種構成を把握するには、定期的に70個のトラップを設置する。予備調査などで生息密度を予測できる場合には、70個(0.1頭/トラップ)、50個(0.2頭/トラップ)、40個(1頭/トラップ)、30個(4頭/トラップ)などを目安としてトラップ設置数を減らして労力を軽減する。
  5. カブリダニ類の種構成を推定するには、設置するトラップ数の7割以上でカブリダニ類が確認される時に、すべてのカブリダニ類を回収して種を同定する。もしくは、カブリダニ類の発生ピーク時に30個のトラップで調査する。
成果の活用面・留意点
  1. 環境保全型農業を推進する研究者および技術普及員を対象とし,標準的な茶園1区画(5a~10a)での調査を想定する。
  2. カンザワハダニを専門的に捕食するケナガカブリダニとチリカブリダニの生息密度を調査するには、葉の採取による調査が有効である。多様なカブリダニ類の把握および種構成の推定にはトラップによる調査が有効である。
  3. 種の同定には位相差顕微鏡が必要である。カブリダニ識別マニュアル(農研機構)
http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/laboratory/narc/manual/055878.html を参考にして種を同定する。チャ葉の調査にハダニ掃落器(ブラッシングマシン)を活用すると、カブリダニ類を効率的に計数できる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028486
カテゴリ 害虫 防除

この記事は