ニホンナシの収穫期に関連するDNAマーカーの検証

タイトル ニホンナシの収穫期に関連するDNAマーカーの検証
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究課題名
研究期間 2009~2015
研究担当者 西尾聡悟
林武司
山田昌彦
高田教臣
山本俊哉
加藤秀憲
西谷千佳子
齋藤寿広
発行年度 2015
要約 ニホンナシの収穫期マーカーPPACS2とBGA35は、実生集団において実用的な効果を示すことから育種実生の早期選抜に利用できる。これらのマーカーの間に交互作用が認められないため、効果を集積することが可能である。
キーワード ニホンナシ、収穫期、DNAマーカー、PPACS2、BGA35
背景・ねらい 果樹研究所における現在のニホンナシの育種目標は果実の高品質性をはじめ、耐病性、省力性、早生性等多岐にわたる。これらの中で単一の遺伝子に支配される黒星病抵抗性、黒斑病罹病性、自家和合性においては、高精度な連鎖マーカーまたは遺伝子マーカーが開発されており、既にマーカー選抜が進められている。一方、収穫期の遺伝は多数の遺伝子に支配されており、これまでに関連するマーカーとして、第15連鎖群にエチレン合成関連酵素の遺伝子マーカーであるPPACS2が、第3連鎖群にBGA35がマッピングされている。しかしながらこれらのマーカーは、育種実生集団への有効性と汎用性が不明であるため、一部の組合せを除いては早期選抜に利用されていない。また、果樹の育種は一般に個体数が少なく、集団により個体数が異なるため、統計的有意差検定ではマーカーを評価することは難しい。本研究では、個体数に依存せずにマーカーの効果を評価することができる分散を用いて、育種実生集団においてニホンナシ収穫期マーカーの検証を行う。
成果の内容・特徴
  1. 5つの実生集団の収穫期に関して、PPACS2によって説明される分散は5.7から32.9、表現型分散中の寄与率は8.6%から35.1%と集団により大きく変動する。早生と晩生の遺伝子型の各個体群の平均値の差は4.8日から11.6日であり,いずれの集団においても実用的な差が認められる(表1)。
  2. 「あきあかり」×「太白」の集団の収穫期に関して、BGA35によって説明される分散は44.4であり、表現型分散中の寄与率は24.9%を示す(表2)。早生と晩生の遺伝子型の個体群の平均値の差は13.5日と大きな効果があることが認められる。
  3. PPACS2とBGA35の間に交互作用が認められないことから、これらのマーカーの相加効果を期待できる(表3)。
成果の活用面・留意点
  1. PPACS2とBGA35は、実生集団において実用的な効果が認められたことから、早生性または晩生性を目的とした育種実生の早期選抜に利用できる。また、これら2つのマーカーの効果を集積することで、より早生または晩生の個体を選抜することができる。
  2. DNAマーカーの効果を分散で評価したことにより、DNAマーカーで説明される分散と表現型分散や環境分散との比較や、個体数の異なる集団間でのマーカーの効果の比較が容易になる。
  3. PPACS2はエチレン合成関連遺伝子のマーカーであり、果実の日持ち性との関連も報告されている。早生の効果を持つ対立遺伝子は日持ち性が低下する効果も持つので、早生性と日持ち性の両方を目的としている場合は注意が必要である。
  4. BGA35は連鎖する原因遺伝子の機能および正確な位置が特定されていないため、遺伝子とマーカー間での組み換えにより、誤判定してしまう可能性がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028472
カテゴリ 育種 黒星病 抵抗性 DNAマーカー

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