パーティクルガン法による紫紋羽病菌の形質転換

タイトル パーティクルガン法による紫紋羽病菌の形質転換
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究課題名
研究期間 2008~2015
研究担当者 八重樫元
清水健雄
兼松聡子
伊藤伝
発行年度 2015
要約 紫紋羽病菌の菌糸にハイグロマイシン耐性遺伝子発現ベクターをパーティクルガン法で導入することで、ハイグロマイシン耐性形質転換体を得ることが出来る。多くの形質転換体のゲノムには、複数コピーが導入される。
キーワード 紫紋羽病、パーティクルガン、形質転換、ハイグロマイシン耐性
背景・ねらい 紫紋羽病は果樹類の難防除土壌病害であり、本病原菌(Helicobasidium mompa)の感染生態ならびに発病機構を分子生物学的に解析するには形質転換系の確立が必要である。多くの糸状菌では、プロトプラストを介した形質転換系が利用されているが、紫紋羽病菌ではプロトプラストの調製が困難である。そこで本研究では、パーティクルガン法を利用して紫紋羽病菌の菌糸細胞に直接ハイグロマイシン耐性遺伝子発現ベクターを導入し、形質転換体を作出する方法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 紫紋羽病菌V17株を0.2%活性炭を含むV8トマトジュース培地上で25℃、7日間培養したものを菌体試料として用いる。紫紋羽病菌由来グリセルアルデヒド三リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子プロモーターの制御下でハイグロマイシン耐性遺伝子を発現するベクター(pGhph; 図1)を用いる。パーティクルガン装置はバイオラッド社のPDS1000を用いる。
  2. pGhphを直径0.6μmの金粒子にコーティングし、1100または1350psiのヘリウム圧、発射装置から菌体試料までの距離は6cmの条件で、パーティクルガン導入し、100μg/mlのハイグロマイシンを含む選択培地でスクリーニングすると、ハイグロマイシン耐性形質転換体が得られる(表1)。
  3. 形質転換体ゲノムへのハイグロマイシン耐性遺伝子の導入コピー数をサザンブロット解析すると、ほとんどの形質転換体(V17PGh1, 3-9)で、複数コピー(2から9)の導入が確認される(図2)。これらの形質転換体は、ハイグロマイシンを含まない非選択培地で6回継代培養しても、ハイグロマイシン耐性を示す。一方、単一コピーが導入される形質転換体(図2; V17PGh2)は、非選択培地で培養するとハイグロマイシン耐性を失う。
成果の活用面・留意点
  1. 紫紋羽病菌V17株に加えて、V664株でもパーティクルガン法による形質転換が可能であるが、選択培地中のハイグロマイシン濃度を通常(100μg/ml)よりも低くする必要がある(80-90μg/ml)。最適なハイグロマイシン濃度は、各菌株のハイグロマイシン感受性とは関連しない。
  2. 本法で得られる形質転換体のほとんどは、非選択培地における継代培養でも安定であり、薬剤耐性遺伝子等のマーカー遺伝子発現株の作出による感染生態の解析に適する。一方、複数コピーがゲノムに導入されるので、遺伝子破壊株の作出等による逆遺伝学的解析には不適である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028460
カテゴリ トマト 防除 薬剤耐性

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