果樹害虫チャバネアオカメムシの増殖地からの離脱と飛来を予察する簡易手法

タイトル 果樹害虫チャバネアオカメムシの増殖地からの離脱と飛来を予察する簡易手法
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究課題名
研究期間 2010~2015
研究担当者 外山晶敏
岸本英成
三代浩二
中野亮
井原史雄
発行年度 2015
要約 果樹害虫チャバネアオカメムシの増殖地であるヒノキ植林地などに、合成集合フェロモンと粘着シートから作るトラップを設置し、誘引・捕獲される幼虫数をモニタリングすると、本種新成虫の果樹園への飛来時期を簡易に予察できる。
キーワード チャバネアオカメムシ、発生予察、新成虫、幼虫、集合フェロモン
背景・ねらい チャバネアオカメムシPlautia stali新成虫が果樹園に飛来する背景には、増殖地であるヒノキやスギ林における餌としての球果の消耗、つまり餌不足がある。餌条件は、年や季節、環境により大きく異なるため、離脱・飛来時期の予測には、繁殖地の餌状態やカメムシ個体群の栄養状態の把握が欠かせない。現在は、カメムシが吸汁した後に残る口針鞘の数により球果の餌としての劣化程度を推測しているが、本調査は作業が煩雑で労力的な負担が大きい。そこで、飢餓耐性が低いと考えられる幼虫を合成集合フェロモン剤でモニタリングすることで新成虫の動態を予測する、簡易な予察手法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 合成集合フェロモン剤と粘着シートから作る、簡単かつ安価なトラップ(呼称「PSトラップ」;図1)で、同フェロモン剤に誘引される幼虫を容易にモニタリングできる。
  2. 合成集合フェロモン剤に誘引された幼虫の大半は強い飢餓状態にあること、誘引個体が集団の状態を代表することが証明されている(図2)。よって、PSトラップに捕獲された幼虫は、栄養状態の調査・推定をすることなく、飢餓状態にあるとみなせ、捕獲状況から集団の状態を推測できる。
  3. 2齢幼虫は餌の劣化にいち早く反応するため、PSトラップで2齢幼虫をモニタリングすることで、増殖地の餌状態を事前に把握できる(図3)。
  4. 3齢以上の幼虫が捕獲され始める時期は、増殖地からの新成虫の離脱警戒目安となる1球果あたりの平均口針鞘数25本を超える時期とほぼ一致する。このことから、PSトラップで3齢以上の幼虫をモニタリングすることで、新成虫の離脱・飛来時期を予測できる(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. PSトラップを用いた本手法は、簡易な手法で、1地点に要する調査時間は口針鞘数調査に比べ約1/10である。このため、広範囲での調査が可能であり、発生源が広域に及ぶ本種の予察精度の向上が期待できる。
  2. 本手法は、夏から秋にかけての新成虫の飛来予測に有効である。特に、秋にみられる大量飛来の予測に有効である。ただし、春から初夏にかけての越冬成虫の飛来は予測できない。
  3. 精度を高めるためには、捕獲状況をみながら口針鞘数調査を併用する。
  4. 本手法の精度については、さらなるデータの蓄積による検証が必要である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028458
カテゴリ カメムシ 害虫 繁殖性改善 フェロモン モニタリング

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