カンショでん粉の低温糊化性の遺伝様式と遺伝子の量的効果

タイトル カンショでん粉の低温糊化性の遺伝様式と遺伝子の量的効果
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 作物研究所
研究課題名
研究期間
研究担当者 片山健二
田宮誠司
境哲文
甲斐由美
高田明子
藏之内利和
中村善行
吉永優
発行年度 2015
要約 カンショでん粉の糊化開始温度が通常品種より20℃程度低い低温糊化性は、1因子の劣性遺伝子が関与し、優性遺伝子の数が増えると糊化開始温度が高くなるという遺伝子の量的効果がみられる。
キーワード カンショ、でん粉、糊化開始温度、遺伝様式、遺伝子の量的効果
背景・ねらい カンショでは、通常品種よりでん粉の糊化開始温度が20℃程度低いでん粉を有する「クイックスイート」などの品種が育成されてきた。その低温糊化性でん粉は、でん粉ゲルが老化しにくく、生でん粉粒の消化性が高く、アミロペクチンの側鎖長が短い構造変異を示し、でん粉合成酵素II型の発現阻害により生じると考えられている(Takahata et al. 2010)。しかし、カンショは他殖性で同質6倍体のため、その遺伝様式は複雑で解明されていなかった。そこで低温糊化性でん粉を有する新品種の育成を効率的に進めるために、でん粉の低温糊化性の遺伝解析を行う。
成果の内容・特徴
  1. 低温糊化性でん粉を有する変異型8系統と野生型15系統を用いて交配を行い、26組み合わせの後代についてでん粉の糊化開始温度を調査した結果、でん粉の糊化開始温度は63~64℃の近辺で分布の谷間を示し、それより低い低温糊化性変異型とそれより高い野生型に分離する。
  2. でん粉の低温糊化性には1因子の劣性遺伝子(spt)が関与し、変異型の遺伝子型は劣性の同型接合型(ssssss)で、優性遺伝子が1つ以上含まれる遺伝子型(Ssssss, SSssss, SSSsss, SSSSss, SSSSSs, SSSSSS)は野生型になると仮定した場合、交配後代における野生型と変異型の分離比は、0:1、1:1、4:1、19:1、1:0等の期待値によく適合する(表1)。
  3. 交配親の遺伝子型における優性遺伝子(Spt)の数とでん粉糊化開始温度との間には、優性遺伝子の数が増えると糊化開始温度が高くなるという遺伝子の量的効果がみられる(図1)。
成果の活用面・留意点
  1. Spt遺伝子型が未解明の品種・系統と低温糊化性変異型との検定交配を行い、その交配後代の分離比を調べることにより、Spt遺伝子型を推定することができる。また、両親の遺伝子型から交配後代における変異型の出現率を推定することが可能である。
  2. 本研究におけるでん粉の糊化開始温度とは、ラピッドビスコアナライザーを用い、でん粉濃度7%で測定した粘度上昇温度を示す。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028443
カテゴリ かんしょ 新品種 品種

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