みつ入りリンゴの嗜好性はエチルエステル類の集積により高くなる

タイトル みつ入りリンゴの嗜好性はエチルエステル類の集積により高くなる
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究課題名
研究期間 2012~2015
研究担当者 田中福代
岡崎圭毅
大脇良成
伊藤伝
立木美保
澤田歩
宮澤利男
発行年度 2015
要約 みつ入りリンゴの嗜好性が高くなる現象の要因は、官能評価と香味成分プロファイリングから解析できる。みつ部位の低酸素条件により集積するエチルエステル類はフルーティ、フローラルな香気特性を持ち、嗜好性を高める作用が大きい。
キーワード みつ入りリンゴ、エチルエステル、低酸素、官能評価、メタボロミクス
背景・ねらい リンゴ(Malus domestica Borkh.)のみつ入りは、果実の細胞間隙が水浸し半透明に見える現象で、「甘くておいしい」との評判が高い。しかし、その糖含量はみつのないリンゴと差がないケースが多く、嗜好性の高さを説明できる成分データはない。そこで、関連成分を幅広く解析するメタボリックプロファイリング法を用いて、リンゴの香味成分と官能評価の結果を関連付け、みつ入りリンゴの嗜好性を高める成分を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. リンゴ「ふじ」について、香りを感じないようにノーズクリップを装着して食べると呈味の強さにみつの有無による差はない。一方、非装着で香りを含めて評価するとみつ入り果はフルーティ、フローラル、スィートな風味が強く、嗜好性が高い(表1)。リンゴの主要な糖類から推定する甘味度は、みつの有無で大きな差はない(データ略)。以上より、「ふじ」のみつの有無による官能特性の違いには香りの効果が強い。
  2. リンゴの揮発性・水溶性成分(香味成分)についてプロファイリングを行うと、香味成分の特徴が似たものを主成分スコアプロット上で近くに図示することができる。「ふじ」・「こうとく」に適用すると、両品種に共通の、みつの有無に関連する香味成分の特徴が第二主成分(PC2)の違いに現れる(図1)。その特徴は、みつ入り果ではエチルエステル類とメチルエステル類が増加し、他のエステル類が減少することにある(表2)。特に、エチルエステル類はフルーティ、フローラル、スィートな香調を低濃度で示すことが知られており、みつ入り果の香味特性を形成する重要な成分と推定できる。
  3. リンゴの内部の酸素濃度は、みつの無い部分では大気レベルに近いのに対し、みつ部位は細胞隙間に水が溜まっているため、極めて小さい(図2)。みつ部位の嫌気的解糖により、エチルエステル類の基質となるエタノールの供給が増加する。
  4. 以上から、みつ入りリンゴの嗜好性を高める成分は、みつ部位の低酸素条件により生成したエチルエステル類と推定される。成分量や閾値を考慮すると、2-メチル酪酸エチル、カプロン酸エチル、酪酸エチルが特に重要な成分である。
成果の活用面・留意点
  1. 「おいらせ」、「北斗」などの品種でも、みつ入り果のエタノールとエチルエステル類の集積が確認できる。
  2. エチルエステル類は、みつ無し果でも大気条件で長期貯蔵すると増加する。また、エタノールやエチルエステル類の集積は過剰になると腐敗臭を伴う場合があるので、香味成分全体のバランスが重要である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028422
カテゴリ くり 長期保存・貯蔵 品種 りんご

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