カルシウムが強化され粘度特性に優れた馬鈴薯澱粉の製造

タイトル カルシウムが強化され粘度特性に優れた馬鈴薯澱粉の製造
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター
研究課題名
研究期間 2011~2015
研究担当者 野田高弘
瀧川重信
遠藤千絵
石黒浩二
長澤幸一
神野正博
発行年度 2015
要約 高リン含量の馬鈴薯澱粉にカルシウムイオンを多く含む水溶液(塩化カルシウム溶液またはミネラルウオーター)を加えることによって、カルシウムが強化され粘度特性が改善された馬鈴薯澱粉を効率的に製造できる。
キーワード 馬鈴薯澱粉、リン、カルシウム、粘度特性
背景・ねらい 馬鈴薯澱粉は他の澱粉と比べてエステル結合したリン酸基を多く含み、リン酸基には種々のカチオンが結合している。馬鈴薯澱粉に含まれるカチオンの種類と量は、澱粉製造時に使用される用水に含まれるカチオンによって決定されると考えられるが、北海道の馬鈴薯澱粉工場で使用される用水は、2価カチオン含量の低い軟水である。そのため生産される馬鈴薯澱粉はカリウムが多く、カルシウムは少ないことで知られ、澱粉の水懸濁液を加熱して粘度がピークに達した後に時間とともに粘度が低下するなど、製品の物性を良好に、安定的に保持できないといった、粘度特性上の問題点がある。そこで、カルシウムが強化され粘度特性が改善された馬鈴薯澱粉を調製する最適条件について検討するとともに、この澱粉特性を活かした食品への用途を明らかにして、北海道産馬鈴薯澱粉の需要拡大を図る。
成果の内容・特徴
  1. 高リン含量の馬鈴薯澱粉(リン含量600 ppm以上)にカルシウムイオンが多く含まれる水溶液(塩化カルシウム溶液またはミネラルウオーター)を加えることによって、カルシウムをもとの澱粉の6倍以上に強化でき、一方、カリウムは検出限界以下(<10ppm)となる(図1)。
  2. カルシウム強化馬鈴薯澱粉のラピッド・ビスコ・アナライザー(RVA)測定によるブレークダウンは顕著に低下しており、カルシウム強化によって粘度特性が改善される(図2)。
  3. カルシウム強化馬鈴薯澱粉から製造したパウンドケーキ及びパンは、処理前の馬鈴薯澱粉のものと比べ、ボリューム感があり外観において優れる(表)。
  4. カルシウム強化馬鈴薯澱粉から製造した冷麺は、処理前の馬鈴薯澱粉のものと比べ、ぷりっとして歯ごたえがあり食感において優れる(表)。
  5. カルシウム強化馬鈴薯澱粉から製造した卵ボーロは、処理前の馬鈴薯澱粉のものと比べ、口溶け感がよく食感において優れる(表)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:馬鈴薯澱粉製造事業者、食品加工事業者等
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:2025年までにカルシウム強化馬鈴薯澱粉生産量500t
  3. その他:カルシウム強化馬鈴薯澱粉は、沈殿槽においてカルシウムを多く含む溶液に懸濁することで安易に製造でき、食品の加工機械への負荷が低減されることから、様々な食品での利用が期待できる。カルシウム強化馬鈴薯澱粉の製造には特許実施利用許諾が必要である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028375
カテゴリ 加工 需要拡大

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