タイトル |
水稲の無コーティング種子代かき同時浅層土中播種技術 |
担当機関 |
(国)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター |
研究課題名 |
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研究期間 |
2011~2015 |
研究担当者 |
白土宏之
安藤正
浅野目謙之
松田晃
川名義明
片平光彦
小野洋
菅原金一
伊藤景子
大平陽一
山口弘道
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発行年度 |
2015 |
要約 |
水稲の催芽種子を代かきと同時に浅層土中に散播することにより、無コーティングでも十分な苗立率が得られる。播種作業は一人で可能であり、播種時間は30aが約1時間である。全刈収量は同地域の鉄コーティング直播や市町村別収量と同程度である。
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キーワード |
水稲、浅層土中播種、湛水直播、無コーティング
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背景・ねらい |
農業の高齢化と担い手農家の大規模化により、水稲の湛水直播栽培面積が増加している。現在の湛水直播栽培は、鉄や過酸化石灰資材の種子コーティングを行う技術が中心である。種子コーティングは苗立の安定化に効果があるものの、逆にコーティング不良が苗立不良の原因になる事例も見られる。また、種子コーティングには機械や資材、手間が必要である。そこで、種子コーティングを省略したより省力・低コストで取り組みやすい湛水直播栽培技術を開発し、実用性を現地圃場で実証する。
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成果の内容・特徴 |
- 播種機は代かき用ハロー(2.2~2.4m)、速度連動播種ユニット、マーカー、種子拡散板、鎮圧ローラーで構成される播種機を利用し(図1)、仕上げ代かき-土壌表面散播-鎮圧を1工程で行う。代かき直後の土壌表面を軽量の塩ビパイプ製のローラーで撫でるように自重のみで鎮圧するので、種子は土壌表層5mm以内の位置に置かれる(表2)。
- 播種量は乾燥種子換算で5~6kg/10aとする(表1)。鳩胸状態の催芽種子を脱水して用いる。
- 荒代かきをした水田で、水面割合が30~50%になるまで落水して、マーカー跡が見える状態で播種する。一人作業で30aの水田を1時間で播種できる(表1)。
- 播種後10日間以上落水管理すると、苗立率は約60%になる(表2)。
- 現地実証試験の全刈収量は平均609kg/10aで、「萌えみのり」では鉄コーティング直播と同程度であり、「はえぬき」では同地域の移植栽培が主である市町村別収量と同程度である。検査等級は1等である(表2)。
- 水持ちと排水性がよく、給排水が自由にでき、高低差の少ない水田に適する。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:水稲栽培農業者
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:東北地域の湛水直播適地に1,000ha
- 2016年は試作機7台で作業要望に対応し、2017年に播種機が市販される予定。
- 詳しい技術マニュアルを農研機構東北農業研究センターのホームページに掲載予定。
- 播種深度が浅く転び型倒伏の懸念がある。倒伏しやすい品種での検討は不十分なことから,「はえぬき」や「萌えみのり」といった倒伏に強い品種を用いる。
- 出芽後湛水して、直播水稲表面播種にて実用性が確認された除草剤(http://www.japr.or.jp/gijyutu/014.html)を施用するとともに、その後発生する草種に応じた中後期除草剤を施用する。
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カテゴリ |
乾燥
直播栽培
除草剤
水田
水稲
大規模化
低コスト
排水性
播種
品種
水管理
無コーティング種子
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