サメ肉の鮮度保持手法および鮮度保持技術による臭気抑制技術の開発

タイトル サメ肉の鮮度保持手法および鮮度保持技術による臭気抑制技術の開発
担当機関 (国)水産総合研究センター 中央水産研究所
研究課題名
研究期間 2012~2013
研究担当者 大村裕治
木宮 隆
今村伸太朗
鈴木道子
発行年度 2015
要約 近海延縄漁船が気仙沼に水揚げするヨシキリザメ肉を臭気抑制して正肉加工原料化するための基盤的知見を得ることを目的として水揚げ魚の鮮度と臭気成分を調べた。航海後期漁獲魚は比較的高鮮度であり、アンモニア含量も低かったことから正肉加工原料として適すると考えられた。
背景・ねらい 気仙沼に水揚げする近海延縄漁業は119トン型の中型延縄漁船を主体に周年にわたって気仙沼漁港を基地として操業する数少ない大規模漁業であり気仙沼に水揚げする漁業のなかでも地域経済への貢献度が高い。主対象魚種の一つであるヨシキリザメは、肉はすり身加工されて練り製品原料に、皮は皮革製品原料に、骨はコンドロイチン硫酸が健康食品原料等へと無駄なく利用される。しかし2008年に平均単価が約300円/kgまで上昇した産地市場価格はリーマンショックの影響などによるフカヒレ需要の減退とともに低下し、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により気仙沼漁港と隣接する加工場は甚大な被害を受け、気仙沼産サメ製品の出荷が停止すると魚体重の約50%以上を占める肉の主要な需要先である練り製品工場では原料を他魚種に転換し、気仙沼のヨシキリザメすり身加工が再開された後も需要の回復が進まず2013年末には平均単価が109円/kgまで大幅に下落した。このように低価値化したサメ肉の利用促進と付加価値化を図るため、正肉(切り身)利用への用途拡大を目的にサメ肉利用上最も問題となる臭気を鮮度保持により抑制する手法を開発するための基礎知見を得ること目的として、冬期(3月)と夏期(9月)に近海延縄船が水揚げしたヨシキリザメの鮮度と臭気成分との関係を調べた。
成果の内容・特徴 水揚げ時のヨシキリザメの鮮度指標K値は近海延縄船の航海中の漁獲時期と強く相関し、水揚げ時の鮮度は航海中の漁獲時期が大きく影響することが明らかとなった。一方、アンモニア含量は航海中の漁獲時期と明確に相関しなかったが、航海初期漁獲魚では個体ごとのばらつきが大きく、航海後期漁獲魚ではばらつきが安定して小さかった。また、水揚げ時のトリメチルアミンとジメチルアミン含量は漁獲時期にかかわらず非常に低く、初期における臭気劣化の主要因はアンモニアであることが確かめられた。また、市場における6時間までの陳列中にK値、アンモニア含量、トリメチルアミン含量およびジメチルアミン含量ともほとんど変化しなかった。これらの結果からヨシキリザメの正肉利用には航海後期漁獲魚が適すると考えられた。
成果の活用面・留意点 航海後期漁獲魚は比較的高鮮度で臭気成分も少ないが、臭気成分の前駆体である尿素やトリメチルアミンオキサイドを多量に含むことから流通および加工中の温度変動によりアンモニア、トリメチルアミンやジメチルアミンが生成し臭気が発生する可能性があることから温度管理に留意する必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028360
カテゴリ 温度管理 加工 出荷調整 鮮度保持技術

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