マハタ人工種苗における形態異常低減技術の開発

タイトル マハタ人工種苗における形態異常低減技術の開発
担当機関 三重県水産研究所
研究課題名
研究期間 2011
研究担当者 辻 将治
土橋靖史
青木秀夫
逵原幸奈
発行年度 2015
要約 マハタ人工種苗の形態異常(脊椎骨屈曲)を低減し、生産効率を向上させるため、仔魚期初期における鰾の開腔(鰾の一次開腔)条件について検討した結果、飼育水面の油膜除去で鰾の開腔が促進され、脊椎骨屈曲の低減に有効であることを明らかにした。
背景・ねらい マハタは、高い市場価値や成長の早さから、新しい養殖対象魚として注目されている。三重県は毎年20~30万尾の人工種苗を生産しているが、脊椎骨屈曲の形態異常が高率で出現しており、種苗の品質や生産効率の向上が課題となっている。他の魚種では、飼育水面の油膜除去による鰾の一次開腔促進が効果的であることから、マハタにおける鰾の開腔時期及び開腔条件について検討し、形態異常低減技術の開発に取り組んだ。
成果の内容・特徴 1.鰾の開腔と仔魚の発育ステージを観察した結果、開腔開始時期はPre-flexionステージであることが明らかとなり、油膜除去はそれ以前のPelagic larvaeステージから実施することが適切であると考えられた。

2.水面での仔魚の空気呑み込みが鰾の一次開腔に及ぼす影響を確認するため、油膜除去区(Pelagic larvaeステージが主である11~12日令から実施)、油膜非除去区、流動パラフィン添加区(水面での空気飲み込みを阻害)を設定し、鰾の開腔率を比較した(図1)。その結果、鰾の開腔率は、油膜非除去区では2.3~19.0%、流動パラフィン区では0.8~5.8%で推移したが、油膜除去区では最大46.7%が確認された。このことから、水面での空気呑み込みで鰾が一次開腔し、飼育水面の油膜等を除去することで、鰾の開腔が促進されると考えられた。また、浮上死防止のため10日令まで飼育水面に油を添加し、11日令以降に油膜除去を実施することで、仔魚の生残確保と鰾の一次開腔促進の両立が可能であることが明らかとなった(表1)。

3.鰾の開腔条件を検討した飼育試験終了時に標本の軟X線撮影を行い、脊椎骨の屈曲率を評価した。その結果、脊椎骨の屈曲率は、油膜非除去区および流動パラフィン区と比較して油膜除去区で有意に低かった(図2)。また、脊椎骨の屈曲率は、鰾の開腔個体で1.6~1.8%、鰾の未開腔個体で8.5~8.9%を示し、鰾の開腔個体で有意に低かった(図3)。このことから、飼育水面の油膜除去による鰾の一次開腔促進が脊椎骨屈曲の出現防止に有効であることが明らかとなった。
成果の活用面・留意点 マハタにおいて、鰾の開腔開始時期に合わせて油膜除去を行うことで、仔魚の生残確保と鰾の一次開腔促進の両立が可能となり、種苗の生産効率の向上に寄与する。
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