八代海におけるノリ色落ち原因珪藻の季節変動と栄養塩動態

タイトル 八代海におけるノリ色落ち原因珪藻の季節変動と栄養塩動態
担当機関 熊本県水産研究センター
研究課題名
研究期間 2012~2014
研究担当者 諸熊孝典
多治見誠亮
川崎信司
一宮睦雄
発行年度 2015
要約 ノリ養殖が営まれる八代海湾奥部において、2013年から2015年の周年を通した水質観測と植物プランクトン現存量の調査を実施した結果、湾奥部由来と考えられる小型珪藻と八代海南部からの流入が考えられる大型珪藻が、ノリの色落ちに寄与していることが示唆された。
背景・ねらい 八代海湾奥部において従来では10月から2月頃にかけてノリ養殖業が行われていたが、近年、本海域において早期(11月~12月)に珪藻が大量発生し、それに伴い栄養塩類が減少することで、ノリの色落ち被害が拡大し、養殖期間の短期化につながっている。しかし、本海域において周年を通した珪藻類と栄養塩動態との関係をみた研究例は少なく、ノリの色落ち原因種およびその生活史は不明である。そこで、2回/月の頻度で周年を通して海洋調査を行い、原因種の特定を行った。
成果の内容・特徴 (1)2013年のDIN濃度は、鉛直混合により成層が崩れた10月に表層で12.7μmol L-1まで増加したが、12月上旬からDIN濃度がノリ色落ちの危険が高まる7μmol L-1以下にまで減少し、ノリ養殖が終了する翌年3月まで低濃度で推移した(図1)。珪藻類の現存量は、DIN濃度の急激な減少が確認された1月中旬には小型珪藻であるSkeletonema spp.とChaetoceros debilisが増加していたことから、2013年漁期のDIN濃度減少はこれらの種が原因であることが考えられた。

(2)2014年のDIN濃度は、8~12月中旬まで7μmol L-1以上の高濃度で推移した。この期間中、小型珪藻のブルームは確認されなかった。しかし、12月中旬から翌年の1月上旬にかけてDIN濃度が4.3μmol L-1まで減少し、その後も低濃度で推移した。このとき、Eucampia zodiacusRhizosolenia imbricataといった大型珪藻が増加していたことから、2014年漁期のDIN濃度減少はこれらの種が原因であることが考えられた。

(3)珪藻現存量の調査の結果、Skeletonema spp.とC. debilisの休眠期細胞が周年を通して八代海湾奥部の底泥中から検出されたことから、これら2種は湾奥部で再生産していることが示唆された。E. zodiacusR. imbricataの休眠期細胞は底泥中から検出されず、これらの栄養細胞も夏季は水柱中から確認されなかった。しかし、八代海南部海域からは夏季にもこれらの栄養細胞が検出されたことから、E. zodiacusR. imbricataは八代海南部から湾奥部への流入が示唆された。

成果の活用面・留意点 (1)これらの研究成果より、八代海湾奥部におけるノリの色落ちに寄与している珪藻類の挙動が明らかとなったことから、DIN濃度の減少時期予察への活用が可能となる。

(2)八代海でのE. zodiacusとR. imbricataの越夏様式を解明するために広域で調査する必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028338
カテゴリ 季節変動

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