季節移動率を考慮した震災後の福島県沖ケムシカジカの資源量推定

タイトル 季節移動率を考慮した震災後の福島県沖ケムシカジカの資源量推定
担当機関 (国)水産総合研究センター 東北区水産研究所
研究課題名
研究期間 2013~2015
研究担当者 柴田泰宙
服部 努
山廼邉昭文
山田学
佐久間徹
乙女忠弘
佐藤太津真
発行年度 2015
要約 季節移動率を考慮して資源量推定を行えるプロダクションモデルを開発した。2000~2009年の福島県沖で刺網及び沖合底びき網(沖底)により漁獲されたケムシカジカの努力量当たり漁獲量(CPUE)を用いて、推定を行った。結果、震災後の努力量で漁獲すると、震災前の努力量で漁獲した場合より、資源量は増加すると予測された。福島県沖は、海洋保護区(MPA)と同じ役割を果たしていることが示された。
背景・ねらい 一般的に、CPUEは資源量を反映していると仮定される。しかし、資源量が一定でも、特定の季節に生息海域を変える場合には、CPUEの値が時空間的に異なる。その場合、特定海域・時期のみのCPUEを用いると、正しい資源量推定値は得られない。福島県沖では、多くの底魚類が沖合と沿岸を産卵のために移動(マダラ、ヒラメ、キアンコウなど)しており、移動を考慮すれば精度の高い資源量推定が行える可能性がある。本研究では、産卵のために顕著な浅深移動を行うケムシカジカをモデル種として、移動を考慮した資源量推定を行えるプロダクションモデルを開発し、これを用いて資源量を推定することを目的とした。また、今後の福島県沖で底魚類の資源管理のあり方の一例を示した。
成果の内容・特徴 沿岸域と沖合域のCPUEとして、2000~2009年の刺網と沖底の月別CPUEを用い、開発したモデルにそれら2種類のCPUEを適用した。モデルから得られた予測CPUEは観測CPUEの季節変動を再現できていた(図1)。また、資源量が季節的に沿岸と沖合を移動する様子が定量的に明らかとなった(図2)。将来予測の結果、震災後の努力量で漁獲すると、震災前の努力量で漁獲した場合より、資源量は増加すると予測された(図3)。
成果の活用面・留意点 研究で開発したモデルを活用すれば、資源量推定値に加え長期的に漁獲量を最大にする最適な努力量を定量的に把握できる。刺網と沖底の努力量を変化させ、100年先までの資源量を予測し、その間の総漁獲量を求めた。刺網と沖底の努力量を震災前の平均0.79および0.59から0.2および1に変化させた場合、期待漁獲量は約9倍になると推定された(図4)。本研究の成果は、季節的に移動を行う他の底魚類等にも応用可能であり、復興後の漁業のあり方を考える際の一つのツールとなることが期待される。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028308
カテゴリ 季節変動

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