オイルパーム廃棄木の搾汁残渣を効率的に分解する酵素の利用

タイトル オイルパーム廃棄木の搾汁残渣を効率的に分解する酵素の利用
担当機関 (国)国際農林水産業研究センター
研究課題名
研究期間 2011~2015
研究担当者 荒井 隆益
村田 善則
小杉 昭彦
Kok Chang Lee
Darah Ibrahim
発行年度 2015
要約 糸状菌Penicillum rolfsiiから調製した糖化酵素液は、市販糖化酵素と比較して、オイルパーム廃棄木搾汁残渣の糖化反応時に高い温度安定性及び残渣に対して低い吸着性を示し、高い分解活性を有することから廃棄木搾汁残渣糖化用酵素として優れている。
キーワード オイルパーム廃棄木, 糖化酵素, 農業廃棄物
背景・ねらい オイルパームは、東南アジアにおける代表的な農作物であるが、油脂生産性を維持するために約25年間隔で伐採、再植される。この時に大量のパーム廃棄木が発生している。パーム廃棄木は、リグノセルロース資源であり、糖化酵素を用いグルコースやキシロースなどの発酵可能な糖に変換することができるため、バイオエタノールやバイオプラスチックなどの有用物質の原料となる。糖化酵素は、糖化反応中に熱変性やリグノセルロース中のリグニンに吸着するため、糖化反応が阻害されることが問題になっている。本研究は、熱安定性に優れ、リグニンに対して低吸着なパーム残渣用糖化酵素の利用法の開発を目的とする。
成果の内容・特徴
  1. 新たに調製した糖化酵素P. rolfsiiは、パーム廃棄木搾汁残渣の分解反応時 (50℃) において、2種の市販酵素 (Celluclast 1.5L, Accellerase 1500) と比べて高い温度安定性を有し、産業利用上に優れた特徴を持つ(図1)。
  2. パーム廃棄木搾汁残渣の主要な構成成分の一つであるリグニンに対する吸着性を分析した結果、P. rolfsiiは、パーム廃棄木残渣中のリグニンに対して低い吸着特性を示す(図2)。本酵素のリグニンに対する低吸着特性は、産業利用上優れた特徴であると考えられる。
  3. P. rolfsiiは、市販糖化酵素と比較して、パーム廃棄木搾汁残渣を高い効率で糖に変換することができる(図3)。また糖化酵素P. rolfsiiの様々な基質に対する分解酵素活性を測定した結果、P. rolfsiiは市販糖化酵素と比較して、キシランに対して高い活性を示す。キシランは、パーム廃棄木搾汁残渣の主要な構成成分の一つである。P. rolfsiiのパーム廃棄木搾汁残渣に対する高い分解活性は、残渣中のキシランを効率的に分解しているためであると考えられる。
  4. 以上のように、本酵素はパーム廃棄木残渣分解に優れた特徴を有することから、産業上の利用が期待できる。
成果の活用面・留意点
  1. P. rolfsiiを単独で使用する場合は、糸状菌P. rolfsiiを改良し、酵素の生産量の向上や培養量のスケールアップが必要である。
  2. P. rolfsiiを市販酵素に混合する方法は、市販酵素のパーム廃棄木搾汁残渣中のリグニンへの吸着を抑えることができ、また分解活性も向上することから、市販酵素の使用料を抑えるメリットがある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028261
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