サトウキビ野生種を利用しタイで共同育成したサトウキビ新品種

タイトル サトウキビ野生種を利用しタイで共同育成したサトウキビ新品種
担当機関 (国)国際農林水産業研究センター
研究課題名
研究期間 2003~2015
研究担当者 安藤 象太郎
寺島 義文
田金 秀一郎
佐藤 光徳
伊敷 弘俊
松岡 誠
高木 洋子
杉本 明
W. Ponragdee
T. Sansayawichai
A. Tippayawat
発行年度 2015
要約 新品種としてタイで登録されたサトウキビ3品種「TPJ03-452」、「TPJ04-713」、「TPJ04-768」を、サトウキビ野生種との種間交雑を利用して育成した。「TPJ03-452」と「TPJ04-768」は、砂糖収量は普及品種と同程度で繊維収量は多い。「TPJ04-768」は、厳しい乾季を持つ東北タイでも株出し栽培における収量減が少ないため、多回株出し栽培が期待される。
キーワード サトウキビ, 種間交雑, 砂糖収量, 繊維収量, 東北タイ
背景・ねらい 世界人口の増加に伴い、食料・エネルギーの逼迫が問題となっている。その緩和には、農業生産力の低い土地での作物の生産性向上と、それによる食料・エネルギーの増産が必要であり、糖質や繊維から砂糖やエネルギーが生産できるサトウキビはその重要な候補作物である。そこで、肥沃度の低い土壌、厳しい乾季や白葉病等によってサトウキビの生産性が低い東北タイを対象として、省力的・低コストな作型である株出し栽培で多収となり、糖質や繊維質の生産性が高いサトウキビ品種を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 「TPJ03-452」、「TPJ04-713」、「TPJ04-768」は、2015年2月25日にタイで品種登録され、製糖用品種・系統とタイ国内に分布する株出し性が優れるサトウキビ野生種(Saccharum spontaneum)との種間雑種F1を花粉親、製糖用品種・系統を種子親として再交配して育成した品種である(表1)。
  2. 「TPJ03-452」と「TPJ04-768」は、製糖用普及品種「Khonkaen3」や「K88-92」と比べて、砂糖収量は同程度であるが、繊維収量は多い。「TPJ03-452」は3年間で「Khonkaen3」の約1.9倍、「TPJ04-768」は2年間で「Khonkaen3」の約1.6倍の繊維収量が得られる(表2)。
  3. 「Khonkaen3」では、1回目株出し栽培の原料茎収量、砂糖収量、繊維収量は、新植栽培と比べると、いずれも大きく減少する。一方、「TPJ04-768」は、それらの減少が「Khonkaen3」と比べると少ない(表2)。
  4. 「TPJ03-452」と「TPJ04-768」は製糖用普及品種「Khonkaen3」や「K88-92」と比べて、原料茎径は細く、繊維分が多い。「TPJ04-768」は「Khonkaen3」と比べて原料茎長が長い(表3、図1)。
  5. 「TPJ04-768」は、製糖用普及品種と同程度の砂糖収量があり、厳しい乾季を持つ東北タイでも株出し栽培における収量減が少ないため、多回株出し栽培が期待される。
成果の活用面・留意点
  1. 株出し栽培の生産性が低い地域や砂糖とともにバイオエタノールや電力を生産する工場での利用が期待できる。東北タイでの実用栽培に向けて、奨励品種としての活用に必要な、農家や製糖工場が実施する現地試験等に提供する。
  2. 茎が細く脱葉性が劣る等の農作業特性と、繊維分が多い等の加工特性が、従来の普及品種とは大きく異なるため、収穫機械の導入や製糖・エタノール生産における新たな技術開発が、普及上重要である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028251
カテゴリ 加工特性 さとうきび 収穫機 新品種 低コスト 品種

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