日本のイネいもち病菌レースと品種の抵抗性変異との相互関係

タイトル 日本のイネいもち病菌レースと品種の抵抗性変異との相互関係
担当機関 (国)国際農林水産業研究センター
研究課題名
研究期間 2011~2015
研究担当者 福田 善通
柳原 誠司
林 長生
田中-川崎 顕子
発行年度 2015
要約 日本のイネいもち病菌レースは地域により異なるタイプが分布している。これはその地域で栽培されてきたイネ品種の抵抗性遺伝子との関係で説明できる。
キーワード イネ, いもち病, 菌レース, 品種, 抵抗性, 相互分化
背景・ねらい JIRCASの進める日本も含めたイネいもち病ネットワーク研究では、いもち病防除技術開発のため、アジア、アフリカにおけるいもち病菌レース(病原性の異なる菌系)の分布や分化、イネ遺伝資源(現地の実用品種を含む)における抵抗性変異、さらには菌レースと抵抗性遺伝子との相互関係を評価している。この一環として、日本の北海道から九州に至るいもち病菌菌系の病原性の多様性および栽培されているイネ品種の抵抗性の遺伝的変異を解明する。
成果の内容・特徴
  1. 日本のイネいもち病菌菌系の病原性と品種の抵抗性の変異は、地域によって異なる(図1)。
  2. いもち病菌菌系は25の判別品種群(異なる抵抗性遺伝子を有するイネ品種群)と感受性品種Lijiangxintuanheiguに対する反応パターンから、3グループ(I、IIa、IIb)に分類できる。
  3. 地域によって各グループの出現頻度が変化し、Iのいもち病菌菌系の多くは抵抗性遺伝子Pikの複対立遺伝子群 に対し病原性を示し、北海道、東北、関東、北陸に比較的多く分布し、特に北海道に多い。IIaは広く日本中に分布しPikの遺伝子群には病原性を示さない。またIIbは、抵抗性遺伝子Pii、Pi3、Pi5(t)への病原性がなく北陸、東海、中四国、九州に分布が限られている。
  4. 品種は日本産及びフィリピン産いもち病菌菌系への反応パターンから、4つのグループ(A1、A2、B1、B2)に分類できる。A1は判別品種群と感受性標準品種のみで最も抵抗性弱で、続いてA2、 B1、B2の順で抵抗性が強くなる。
  5. 抵抗性遺伝子Pikの複対立遺伝子を持つと推定されるB1が北海道と東北地方の品種に特に多く、抵抗性の最も強いB2が関東に多い。
  6. 北海道や東北地方で認められたいもち病菌菌系グループIと抵抗性品種グループB1との関係は、抵抗性遺伝子に対応して病原菌レースが発生していることを示している。
成果の活用面・留意点
  1. 品種の抵抗性といもち病菌菌系の病原性との対応関係の確認は、防除技術開発のための基礎知見となる。
  2. 他のネットワーク参加国に比べ、日本のイネ品種やいもち病菌菌系の遺伝的変異は小さいが、これは利用される抵抗性遺伝資源が限定されているためと考えられる。
  3. 防除技術として抵抗性を利用する場合には、イネ品種の遺伝的多様性の確保が重要である。
  4. 今後は、アジア、アフリカ地域のいもち病菌菌系やイネ遺伝資源の遺伝的な多様性について引き続き調査し、これらの世界的な分化・分布を解明していく必要がある。
  5. ネットワーク研究の統一判定基準や材料が国際的な評価を得ており、本成果も今後世界での比較のため利用できる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028250
カテゴリ 遺伝資源 いもち病 抵抗性 抵抗性遺伝子 抵抗性品種 品種 防除

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