ヤム遺伝資源多様性解析のためのSSRマーカーの開発

タイトル ヤム遺伝資源多様性解析のためのSSRマーカーの開発
担当機関 (国)国際農林水産業研究センター
研究課題名
研究期間 2011~2015
研究担当者 山中 愼介
Tamiru Muluneh
寺内 良平
発行年度 2015
要約 ヤマノイモ (Dioscorea) 属作物の一種であるD. cayenensisのゲノムDNAより探索した単純反復配列 (SSR) 領域を増幅する90個のマーカーを作成した。これらのマーカーはアフリカで栽培されている6種のヤム遺伝資源において高い汎用性を示し、ヤムの主要な種の系統関係や多様性の評価に適したマーカーである。
キーワード ヤム, 遺伝資源, SSRマーカー, 系統関係, 多様性
背景・ねらい ヤム (Yam) は、ヤマノイモ (Dioscorea) 属の食用として栽培されている複数の種の総称で、アフリカ、アジア、オセアニア、南アメリカと世界中に広く分布している。とくに、西アフリカでは重要な主食作物として年間5,000万トンが生産されているが(図1)、品種改良や育種に関する技術開発は遅れている。JIRCASはヤムの生産性向上に向けた育種の基盤となる科学的情報の整備や研究技術の開発を目的に国際共同プロジェクトを実施している。本研究ではヤム遺伝資源の系統関係や多様性評価のためのDNAマーカーを開発する。これらのマーカーは、ヤムの遺伝資源の管理や評価、さらには育種工程への利用が期待できる。
成果の内容・特徴
  1. D. cayenensisのゲノムDNAより探索したSSR(Simple Sequence Repeat、単純反復配列:2~数塩基の繰り返しからなる配列)領域を増幅する90マーカーを新規に開発した。マーカー数は既報のSSRマーカーの合計数(7報で計67個)を大きく上回る。作成した90マーカーは、全世界での生産量の多い主要な2種D. rotundata及びD. alataにおいて、それぞれ85マーカー (94.4%) 及び51マーカー (56.7%) の増幅が確認され、複数種間における汎用性を示す。
  2. アフリカで主要なヤム6種 (D. alata, D. bulbifera, D. cayenensis, D. dumetorum, D. esculenta, D. rotundata) における90マーカーの増幅および多型を調査し、種を横断的に調査するために有効な30マーカーをさらに選定した(表1)。とくに、*印を付した6マーカーは、6種中5種以上での増幅が確認され、種間の系統関係を効率的に評価できるマーカーセットであると考えられる。
  3. 選定した6マーカーを用い5種131系統のヤム遺伝資源(サンプル数の少ないD. esculentaを除く)の系統解析の結果、1)D. alataおよびD. bulbiferaについてはそれぞれの種ごとに明瞭にグループを形成する、2)D. rotundataD. cayenensisが遺伝的に近縁なグループに属するなど既報の種の分類と矛盾することなく位置づけられ、選定したマーカーの有効性が実証された(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 選定したマーカーは種間の関係の解析のみでなく、ヤム各種内の遺伝的多様性の評価にも有効である。
  2. SSRマーカーは育種の現場においても利用しやすいことから、適切なマーカーを選ぶことによって交雑の成否確認や品種同定への利用が期待できる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028246
カテゴリ 育種 遺伝資源 DNAマーカー 品種 品種改良 やまのいも

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