単作田の非作付け期間における炭素収支 ― つくば市内の水田の解析事例 ―

タイトル 単作田の非作付け期間における炭素収支 ― つくば市内の水田の解析事例 ―
担当機関 (国)農業環境技術研究所
研究課題名
研究期間
研究担当者 小野圭介
間野正美
宮田 明
井上吉雄
発行年度 2015
要約 つくば市内の慣行の水田において炭素フローを複数年にわたって詳細に測定し、非作付け期間の炭素収支の構造とその年々変動の要因を明らかにしました。
背景・ねらい 農耕地の炭素収支は、作物の生産性や温室効果ガスの排出と深く関わっています。農業環境技術研究所は、1999 年からつくば市内の生産者水田(水稲単作)において大気と地表面の二酸化炭素交換量、ならびに収穫や施肥にともない圃場に出入りした炭素量を測定し、圃場の年間の炭素収支等を明らかにしてきました(研究成果情報第 27 集)。しかし、水稲単作は非作付け期間が半年以上に及ぶため、その間の炭素動態を詳細に把握することも重要です(図 1)。そこで、データをさらに解析し、非作付け期間の炭素収支の構造とその変動の要因を調べました。
成果の内容・特徴
  1. 非作付け期間の炭素収支は、前作の収穫残渣とイネの再生茎葉(ひこばえ)の光合成によって固定されたバイオマスの 46~79%が分解され大気に放出されるという構造でした(図 2 説明文)。各構成要素は年次間の変動が大きく、炭素収支(土壌炭素の増加分)は 70~270 gC/m2 の幅を持っていました(図 2 棒グラフ)。堆肥が投入されることで増加分はさらに大きくなりました。
  2. 本圃場は排水性が高くないため、まとまった降水のあとは土壌水分が高く維持され、それによって分解速度が抑制されていました(図 3)。また、収穫残渣を収穫直後にすき込んだ 2004 年では、高い地温により秋期の有機物の分解がより促進される傾向にあり、収穫残渣をすき込むタイミングも分解率の年次間差に影響を及ぼしたと推察されました。
  3. 土壌の排水性、耕起のタイミング、有機質資材の投入量は圃場や管理によって異なりますが、本研究のような事例研究を積み重ねることによって、各プロセスが定式化され、様々な条件に対応できるより頑健な生態系炭素動態予測モデルを構築することが可能 になります。

本研究の一部は、農林水産省委託プロジェクト研究「地球温暖化が農林水産業に及ぼす影響の評価と高度対策技術の開発」による成果です。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028229
カテゴリ 水田 水稲 施肥 排水性

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