通水中の農業用水路トンネルを点検できる無人調査ロボット

タイトル 通水中の農業用水路トンネルを点検できる無人調査ロボット
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究課題名
研究期間 2009~2015
研究担当者 森充広
中嶋勇
川上昭彦
川邉翔平
森丈久
渡嘉敷勝
中矢哲郎
藤原鉄朗
齋藤良二
藤井和人
発行年度 2015
要約 断水が困難な水路トンネル内部を無人で点検する技術である。ロボットは流水中を浮かびながら流下し、水路トンネル覆工のひび割れなどをカメラで記録する。流下中、カメラが回転しないように自動制御されるため、見落としが発生しないことが特長である。
キーワード 水路トンネル、機能診断、壁面自動追尾、ひび割れ、覆工コンクリート
背景・ねらい 近年、社会インフラの老朽化が問題となっている。総延長2,000kmにも及ぶ農業用水路トンネルに関しても、点検が急務であるが、上工水と共用されている水路トンネルでは、短時間しか断水できず、点検が困難となっている。そこで、過年度に開発した水路トンネル点検装置の機能強化を図り、実証試験によりその性能を確認する。
成果の内容・特徴
  1. 開発した装置は、直径450mm、高さ528mm、重さ35kgの円柱型である。水路トンネル覆工に発生しているひび割れや湧水などの変状を撮影するための高感度CCDカメラ、照明、側壁までの距離を計測する赤外線距離計、およその移動距離を計測するドップラー速度計を搭載している(図1)。点検に当たっては、装置を水路トンネル上流坑口から流水中に放流し、下流で回収する。流下中、覆工コンクリートのひび割れ、ひび割れからの湧水等、水路トンネルの変状が3台のカメラで動画として記録される。
  2. 本装置では、側壁までの距離D1~D4を計測し、D1+D3、D2+D4の値とその変化率から回転方向、速度を認識し、それと逆向きにカメラを搭載した上部のみをモーターにより回転させる(図2)。この壁面自動追尾機能により、カメラは、常に水路トンネル覆工に対して正対するため、見落としが発生せず、また、画像をつなぎ合わせるだけで、水路トンネル内面の展開画像が容易に得られる(図3)。
  3. LED照明の数を16個から3倍の48個に増やすとともに、自動追尾機能の制御パラメータ(側壁までの距離変化に対する上部の逆方向への回転速度、回転量)を現場で微調整できる機能を追加した。これらの改良により、ぶれが少ない鮮明な画像が得られている(図3)。実証試験により、適用範囲は、従来の流速1.0m/s以下から1.5m/s以下にまで拡大し、ひび割れ検出精度は、幅1.5mm(直径1.7mの水路トンネルでの結果)から幅1.0mm(直径1.9mの水路トンネルでの結果)にまで向上したことを確認している(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:農業用水路トンネルの機能診断を行う国・都道府県、点検業務を請け負うコンサルタント。
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:農業用水路トンネルだけでなく、上水道、発電、工業用水トンネルの管理を担っている民間や企業局等、他分野への普及を図り、年間1,000m以上の水路トンネルでの使用を目標とする。
  3. その他:本成果は、2010年度研究成果情報「農業用水路トンネルの変状を無人かつ通水状態で調査する手法」を発展させたものである。直径1.5m以上で、水深が50cm以上確保できる水路トンネルの調査に適用できる。農林水産省の国営事業で建設された水路トンネル(8トンネル、総延長約3.6km)において本技術を適用し、流速1.5m/s以下であれば目視調査と遜色ない精度での調査が可能であることを確認している。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028193
カテゴリ 自動制御 ロボット

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