畜産農家とサトウキビ栽培農家の連携による地域バイオマスの利活用推進

タイトル 畜産農家とサトウキビ栽培農家の連携による地域バイオマスの利活用推進
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究課題名
研究期間 2011~2015
研究担当者 田中章浩
山口典子
相原貴之
境垣内岳雄
氏原邦博
桐原成元
川乃上照彦
安仁屋政竜
三塩志麻
瑞慶山まどか
野中克治
光部柳子
与那城樹
発行年度 2015
要約 豚尿のメタン発酵処理や農業集落排水汚泥の堆肥化プロセスを地域バイオマスフローに導入し地域資源利用を促進することで、養豚農家では3.2~4.0千円/頭/年の排せつ物処理経費の軽減、サトウキビ農家では7.9~6.3千円/10aの収益改善効果が見込める。
キーワード メタン発酵消化液、汚泥発酵肥料、サトウキビ、減化学肥料栽培
背景・ねらい 南西諸島の養豚では排水基準の厳格化が進みつつあり、豚尿の浄化処理からメタン発酵処理による液肥生産への変換が求められている。また、基幹作物であるサトウキビでは、収量低下からの安価な堆肥や肥料の開発・利用が求められている。そこで、農業集落排水汚泥の安価な堆肥(以下,汚泥発酵肥料)化技術を開発すると共に、豚尿のメタン発酵消化液(以下、消化液)と汚泥発酵肥料を利用したサトウキビ実証栽培を行いその効果を明らかにし、畜産農家と耕種農家の連携を軸とした地域資源循環の促進に資する。
成果の内容・特徴
  1. 農業集落排水汚泥に豚ぷんを2割添加して堆肥化すると、発酵が促進され有機質肥料に係るJA全中の推奨基準を満たすと共に、比較的安価(製造コスト約3千円/t)なサトウキビ向けの汚泥発酵肥料を製造できる(図1)。
  2. 肥育豚2000頭肥育経営における豚ぷん尿(混合)の年間処理経費5.3~6.1千円/頭/年に対し、豚ぷん尿の回収・処理に要する農家負担費を1000円/t(2.1千円/頭/年)とすると、3.2~4.0千円/頭/年の農家処理経費が軽減される。
  3. サトウキビは他の作物に比べて10a当たりの収量の変動が大きいが、夏植えおよび春植え・株出し栽培において、消化液を追肥とし化学肥料を70%代替しても、化学肥料栽培と同等の収量、甘しゃ糖度が得られる(図2)。また、夏植え栽培においては、さらに基肥に消化液と汚泥発酵肥料を組み合わせて施用することで化学肥料を100%代替しても、化学肥料栽培と同等の収量、甘しゃ糖度が得られる。
  4. 散布料込み消化液500円/t、同汚泥発酵肥料3,500円/t、全量化学肥料時の肥料費千円/10a(JA価格)で試算すると、4.4~3.5千円/10aの肥料費減となる。また、散布込みのため3.9~2.8千円/10aの労働費節減効果が見込め、収益改善効果は7.9~6.3千円/10aとなる(表1)。
  5. 金武町の豚飼育頭数8267頭から、養豚農家の排せつ物処理経費は26,454~33,068千円/年減となる。金武町のサトウキビ栽培(夏植え栽培3.1ha、春植え栽培6.1ha、株出し栽培29.2ha)の化学肥料を消化液で70%代替すると2,447千円の収益性が向上する。
  6. 豚尿のメタン発酵処理及び農業集落排水汚泥の堆肥化を従来の地域バイオマスフローに導入することで、田芋・牧草等サトウキビ以外の作物への消化液利用も進みやすくなり、養豚農家と耕種農家の連携を軸とした地域資源利用が促進される(図3)。この結果、養豚農家・耕種農家・行政の負担低減が可能になる。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:行政機関、畜産農家、サトウキビ生産者
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:南西諸島に3市町村
  3. その他:本研究は、農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業「南西諸島における家畜糞尿を核とした地域バイオマス利活用モデル構築(課題番号24013)(2012~2014年度)」の研究費補助を受けて実施した。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028188
カテゴリ 経営管理 コスト さとうきび メタン発酵消化液

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