タイトル |
高接ぎ木ピーマン栽培による青枯病防除 |
担当機関 |
(国)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター |
研究課題名 |
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研究期間 |
2013~2015 |
研究担当者 |
中保一浩
鍛治原寛
西田美沙子
池田健太郎
熊崎晃
前田征之
瓦朋子
井上康宏
植原健人
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発行年度 |
2015 |
要約 |
高接ぎ木ピーマン栽培は、地際から約10cmの高い位置で接いだ苗を利用した青枯病防除技術で、慣行接ぎ木よりも高い発病抑制効果がある。また、慣行接ぎ木と収量、品質等も同等であり栽培上の問題はない。
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キーワード |
高接ぎ木、ピーマン、青枯病 担当:環境保全型防除・生物的病害防除
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背景・ねらい |
ピーマン栽培では産地化、施設化に伴う連作により土壌伝染性の難防除病害である青枯病の発生が大きな問題となっている。本病の防除法として抵抗性台木品種を用いた接ぎ木栽培が広く普及している。しかし、従来の接ぎ木を利用しても青枯病の被害を回避できないことから、より効果の高い防除技術の開発が求められている。そこで、トマトの青枯病対策で実用化された「高接ぎ木法」のピーマン栽培への導入を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 高接ぎ木ピーマン栽培は、地際から約10cmの高い位置に接いだ苗を用いた青枯病防除技術である(図1)。
- 青枯病菌を根部接種した台木品種は、茎部の上位部ほど、病原細菌の検出率が低下する(図2)。高接ぎ木栽培は、このような台木品種の持つ"植物体内での青枯病菌の移行と増殖の抑制能力"を最大限に活用し、青枯病菌による穂木の感染、発病を抑制する技術である。
- 高接ぎ木栽培は、夏秋作型において青枯病の発病抑制効果が認められる(図3)。
- 高接ぎ木栽培による生育、収量及び品質等は、品種や栽培地域にかかわらず慣行接ぎ木と同等であり、栽培管理上の問題点はない(表1、山口県以外のデータ略)。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:ピーマン類生産者、苗生産企業、公立研究機関及び普及センター
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国、500ha、青枯病が発生しているピーマン類圃場の2割を目指す。
- 民間企業による高接ぎ木苗の生産供給体制が確立されており、全国の生産者が苗を購入できる(ベルグアース(株))。
- 台木品種は、青枯病や疫病の発生程度に応じて選択する。1)青枯病の多発生圃場では「台助」、2)青枯病と疫病の混発圃場、または疫病の多発圃場では「台パワー」や「バギー」を選択する。
- 山口県の夏秋作型、10a当たり1,200株、高接ぎ木苗の価格は慣行の1.2倍、8月下旬に慣行接ぎ木で30%、高接ぎ木で15%の株に青枯病が発生した場合、想定される収量に基づいて2011年山口市場単価でコスト試算した場合、苗価格増加分を考慮しても約13万円の増益になる。
- 接ぎ木の防除効果を高めるため、苗の浅植え、管理用ハサミ等の消毒及び圃場の排水対策を徹底する。
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カテゴリ |
青枯れ病
コスト
栽培技術
高接ぎ
台木
接ぎ木
抵抗性
トマト
品種
ピーマン
防除
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