簡易土壌水分計の水位低下量はカンキツが受けている乾燥ストレスの指標となる

タイトル 簡易土壌水分計の水位低下量はカンキツが受けている乾燥ストレスの指標となる
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究課題名
研究期間 2011~2015
研究担当者 黒瀬義孝
根角博久
発行年度 2015
要約 簡易土壌水分計は、塩ビ管内の水位低下量で土壌の乾燥程度を判定する測器である。簡易土壌水分計の1日あたり水位低下量は、カンキツが受けている乾燥ストレスの指標となり、水位低下量を積算した値と糖度との間には相関がある。
キーワード カンキツ、簡易土壌水分計、糖度、葉内最大水ポテンシャル
背景・ねらい 商品価値の高いカンキツを安定して生産するために透湿性防水シートなどが利用されるが、高品質化には適切な乾燥ストレスのコントロールが重要である。そこで、簡易土壌水分計によってカンキツが受けている乾燥ストレスを把握し、目標とする糖度のカンキツを生産する技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. カンキツ用の簡易土壌水分計は、ポーラスカップ、透明の塩ビ管、異径ソケット、シリコン栓で構成される(図1)。
  2. 簡易土壌水分計の設置は、ポーラスカップと土壌が密着するように、梅雨明け前の土壌が十分湿っている日に行う。設置場所は、園地において土壌の乾きやすさが平均的な場所で、樹間の中央とする。設置後、塩ビ管内に水道水をいっぱいまで入れ、シリコン栓で蓋をすれば測定が開始される。
  3. 簡易土壌水分計の指示値は、塩ビ管内の水位である。土壌がpF2.8以上に乾燥すると塩ビ管内の水位が低下し始め、土壌が乾燥するほど水位の低下量は大きくなる。土壌が乾燥してpFメータやTDR土壌水分計での測定値が変化しなくなり、乾燥ストレスの評価が困難であった低水分領域での測定が可能である(図2)。
  4. 簡易土壌水分計の1日あたり水位低下量が大きいほどカンキツは強い乾燥ストレスを受けている(図3)。
  5. 簡易土壌水分計の水位低下量を果汁蓄積期から収穫までの期間について積算した値(積算水位低下量)が大きいほど、糖度が高くなる(図4)。
  6. 大三島農家園地のウンシュウミカン「石地」において、糖度13度以上の果実を生産するためには、簡易土壌水分計の1日あたり水位低下量を5cm程度に保ち、収穫時の積算水位低下量をおよそ310cm以上にするかん水管理を行う。このように、1日あたり水位低下量を適度に保ちつつ、積算水位低下量を収穫時に目標値まで低下させることで、樹体に過度の乾燥ストレスを与えることなく、設定した糖度の果実を生産できる。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:カンキツ生産農家・法人
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国。2015年現在、200本以上の簡易土壌水分計がカンキツ園地で使用されている。
  3. その他:簡易土壌水分計は、商品名「土壌水分目視計」として(株)藤原製作所から販売されている。簡易土壌水分計の設置や修理のマニュアル(PDFファイル)が、農研機構のホームページで公開されている。積算水位低下量と糖度の関係は、園地や品種によって異なる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028160
カテゴリ 温州みかん 乾燥 品種 水管理 その他のかんきつ

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