初産牛の栄養管理にはTMRの乳期別2種飼養より一乳期1種飼養が適している

タイトル 初産牛の栄養管理にはTMRの乳期別2種飼養より一乳期1種飼養が適している
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター
研究課題名
研究期間 2011~2015
研究担当者 中村正斗
中島恵一
早坂貴代史
発行年度 2015
要約 初産牛におけるTMR(TDN72%、CP18%)の一乳期1種飼養は乳期別2種飼養に比べ、泌乳後期の産乳量、乾物摂取量が高く、適正な増体と乾乳時体重となる。また乳飼比は上がるが、乳代から飼料費を控除した収益額は増える。
キーワード 初産牛、栄養管理、産乳性、体重、TMR
背景・ねらい 近年、乳牛は個体毎に栄養を管理するつなぎ飼養が減り、完全混合飼料(TMR)を利用した群飼養を行う酪農家が増えている。北海道で群飼養を行っている酪農家では、成牛99頭以下の規模では牛の産次に関わらず泌乳期を通して同一の栄養管理をする全産次一乳期1種飼養による1群管理が、100~299頭規模では牛の産次に関わらず泌乳前期に比べて泌乳後期の養分含量を下げる栄養管理を行う全産次乳期別2種飼養による2群管理が、300頭以上の規模では初産牛は一乳期1種飼養、経産牛は乳期別2種飼養を行う3群管理が最も多い。これまで泌乳曲線形状から乳量・乳期別栄養管理が日本飼養標準でも推奨されてきたが、初産牛は2産以上の経産牛に比べ、成長中で泌乳曲線が平準化するため、一乳期を通して同一の栄養管理をする一乳期1種飼養が、成長や妊娠のために適していると考えられる。そこで、一乳期1種飼養と泌乳後期にTMR養分含量を下げる乳期別2種飼養の栄養管理を行い、初産牛の産乳性、乾物摂取量、体重および収益について比較検討する。
成果の内容・特徴
  1. 一乳期305日間にわたりTDN72%、CP18%のTMRを給与し、自由摂取させた1群区と、泌乳前期に1群区と同じ養分含量のTMRを給与、泌乳後期に養分含量を下げたTDN69%、CP15%のTMRを給与し、自由摂取させた2群区(表1)を比較すると、4%乳脂補正乳量(FCM)と乾物摂取量(DMI)は、2群区は1群区に比べ泌乳後期に段差的に低下する(図1)。1群区と2群区の305日FCMは、それぞれ9,215kgと8,511kgである(表2)。
  2. 体重は2群区が1群区に比べ泌乳後期に有意(P < 0.05)に低く推移する。1群区の体重推移は、2006年版日本飼養標準に示されるRichards曲線による標準増体重に近似するのに対し、2群区は特に泌乳後期に低く推移する(図1)。
  3. 各個体の305日間の平均日FCMと増体重との関係は、2群区で有意(P < 0.01)な負の相関を認め、日FCMが高いほど標準増体重を大きく下回る(図2)。
  4. 2群区に対する1群区の初産牛1頭当たり305日乳代、飼料費および収益額の試算結果(表2)から、1群区は2群区に比べ飼料効果が低下し、乳飼比が高くなるが、乳代から飼料費を控除した1頭当たりの収益差額では14千円増益となる。
  5. 以上から、初産次高泌乳牛はTMRの一乳期1種飼養が栄養管理の標準であり、305日乳量9,000kg水準の初産牛群はTDN72~73%が適当である。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:泌乳牛のTMR飼養を行っている酪農家
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国
  3. その他 初産牛は泌乳後期の飼料中養分含量を下げる乳期別2種飼養よりも、泌乳期を通して同一の栄養管理をする一乳期1種飼養を標準とすることは、TMR飼養に限らずあらゆる飼養形態の酪農家で適用可能である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028154
カテゴリ 乳牛

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