ウシ伸長胚を利用した現場実施可能な雌雄産み分け技術

タイトル ウシ伸長胚を利用した現場実施可能な雌雄産み分け技術
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究課題名
研究期間 2011~2014
研究担当者 木村康二
松山秀一
発行年度 2015
要約 受精後14日の伸長胚を特殊な機器・技術を用いることなくバイオプシーし、性判別を行った後、バルーンカテーテルまたはシース管を改良した移植器を用いて移植する方法は従来の胚移植と同等の受胎率であり、農家で実施可能な雌雄産み分け技術である。
キーワード 伸長胚、性判別、バイオプシー、ウシ
背景・ねらい 肉牛経営では雄子牛の、酪農経営では雌子牛の需要が高く、雌雄産み分け技術のニーズは高い。胚の性判別は雌雄産み分けに有用なツールであるが、従来の胚移植で供する受精後7日の胚は非常に小さく、性判別には特殊機器・技術が必要であり現場普及の妨げとなっている。本研究では受精後14日の伸長胚を利用した特殊機器・技術を必要としない性判別技術および移植法を開発することにより、農家の牛舎で採胚・バイオプシー・性判別を実施し、畜主の希望の性の胚を移植するという技術体系を構築する。
成果の内容・特徴
  1. カテーテルの穴を大きくした採胚用バルーンカテーテル(図1中央右)を用いて受精後14日目の伸長胚を採胚することで、伸長胚に損傷を与えることなく採胚できる(図1左)。
  2. 胚サイズが大きい受精後14日の伸長胚について、従来の移植器を用いて移植した場合には受胎しないが、採胚用バルーンカテーテル(図1右)またはシース管(図1中央左)を改良した移植器を用いて移植した場合の受胎率はそれぞれ48.0%および44.8%であり、受精後7日の胚を移植した場合と同等の受胎率である(表1)。
  3. 従来の胚移植で供する受精後7日の胚は直径約0.15ミリと非常に小さいため、性判別には顕微鏡やマイクロマニュピュレーター等の高価な機器や特殊技術を用いて胚から細胞を切り取る(バイオプシー)必要があるのに対し、目視出来るほど大きい受精後14日の伸長胚(図1左)は、これらの特殊機器・技術を用いることなくSurgical razor blade (No.14)で0.2-0.5 mmの断片を容易にバイオプシーすることが可能で、バイオプシーした後に移植しても受胎率に影響はない(表2)。また、伸長胚1個につき1分程度でバイオプシーのセットアップから断片の性判別用反応チューブへの封入が可能である。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:獣医師
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国
  3. その他:本技術を活用する場合には以下の点に留意する。
1)伸長胚の移植は、発情後10-14日の受胚牛に対して行うようにする。
2)性判別は栄研化学株式会社のLoopamp Bovine Embryo Sexing Kitを用いることで簡易かつ短時間(約40分)での判別が可能である。
3)伸長胚を移植して不受胎であった場合、発情回帰日数が延長することが多いので、伸長胚移植を行った後は超音波画像診断装置等を用いた妊娠鑑定を行うようにする。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028153
カテゴリ 経営管理 肉牛 乳牛

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