「イタリアンライグラス中間母本農3号」を利用した低硝酸新品種

タイトル 「イタリアンライグラス中間母本農3号」を利用した低硝酸新品種
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究課題名
研究期間 2008~2015
研究担当者 川地太兵
清多佳子
原田久富美
須永義人
荒川明
内山和宏
水野和彦
畠中哲哉
星野健一
榎本剛士
西本淳
寺沢祐一
近藤聡
立花正
小橋健
小槙陽介
小山内光輔
関根平
杉田紳一
佐々木亨
秋山貴紀
長谷川智浩
発行年度 2015
要約 「イタリアンライグラス中間母本農3号」及びその後代系統を育種母材として育成したイタリアンライグラス新品種の硝酸態窒素濃度は、堆肥や窒素肥料を多量に施用する栽培条件において、市販品種で最も低いレベルの「優春」より20%以上低い。
キーワード イタリアンライグラス、硝酸態窒素、二倍体早生、飼料作物育種
背景・ねらい 牛の硝酸塩中毒の原因となる硝酸態窒素を飼料作物中に蓄積させないためには、適切な施肥管理を行うことが重要である。多量の堆肥の施用により飼料作物中に硝酸態窒素の蓄積が懸念される場合は、硝酸態窒素濃度が低い品種の利用も硝酸態窒素蓄積の抑制に効果的である。畜産草地研究所は硝酸態窒素濃度が市販品種中で最低レベルの「優春」より30%以上低い「イタリアンライグラス中間母本農3号(以下、「農3号」とする)」を育成している(2009年普及成果情報)。しかし「農3号」は収量性が市販品種よりやや劣るため、収量性に優れる品種や系統を利用して、硝酸態窒素濃度が「優春」より低く、収量性が「優春」等の市販品種と同程度のイタリアンライグラス(Lolium multiflorum Lam.)新品種を育成する。
成果の内容・特徴
  1. 「LN-IR01」「SI-14」「JFIR-20」は「農3号」及びさらに選抜した後代系統と収量性に優れる既存品種または系統を交雑し、幼苗時の硝酸態窒素濃度等を指標とした選抜を3回程度繰り返すことにより育成した、硝酸態窒素濃度が低く収量性に優れる二倍体早生の新品種である。
  2. 堆肥や窒素肥料を多量に施用する栽培条件において、育成品種の硝酸態窒素濃度は「優春」より20%以上、「ニオウダチ」「はたあおば」より30%以上低い(表1)。
  3. 関東及び九州地方における標準的な栽培条件において、育成品種の出穂始日が早生品種の「優春」「はたあおば」と概ね同程度であることから、早晩性は早生である(表2)。また乾物収量、乾物率、草丈、倒伏程度も「優春」「はたあおば」と同程度である(表2)。堆肥や窒素肥料を多量に施用する栽培条件においても概ね同様である(図表省略)。
  4. 「LN-IR01」「SI-14」「JFIR-20」は、栄養生長期の草丈や草型、株幅、止め葉の幅、最長稈の長さ等で明確な違いが存在する(図表省略)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:イタリアンライグラスを生産している畜産農家、コントラクター
  2. 普及予定地域・普及予定面積:普及予定地域は関東以西の暖地・温暖地で、普及予定面積は3品種合計で約3,000haである。
  3. その他:「LN-IR01」は「ゼロワン」としてカネコ種苗から、「SI-14」は「タチユウカ」として雪印種苗から、「JFIR-20」は「うし想い」としてタキイ種苗から販売されている。 これらの品種の硝酸態窒素濃度は既存品種より低いが、堆肥や窒素肥料を多量に施用する栽培条件では硝酸態窒素濃度が牛の急性硝酸塩中毒のガイドライン値である0.2%を上回ることがある。硝酸態窒素濃度が低いイタリアンライグラスを確実に生産するためにはこれらの品種の利用だけでなく、堆肥や窒素肥料を適切に施用する施肥管理も必要である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028149
カテゴリ 育種 イタリアンライグラス コントラクター 栽培条件 飼料作物 新品種 施肥 品種

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