地下水位制御システムが地下かんがい機能を発揮するための下層土の透水条件

タイトル 地下水位制御システムが地下かんがい機能を発揮するための下層土の透水条件
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究課題名
研究期間 2011~2015
研究担当者 若杉晃介
原口暢朗
瑞慶村知佳
発行年度 2015
要約 全国13ほ場での調査により、地下水位制御システムFOEASの導入によって安定した地下かんがいを行うための土壌条件としては、暗渠管が埋設される深さ60cm以下の土層の飽和透水係数が、概ね10-5cm/s以下が望ましい。
キーワード 地下水位制御、地下かんがい、FOEAS、下層土、透水性
背景・ねらい 地下水位制御システム(以下、FOEAS)は、地下かんがい・地下排水の両方の機能を有し、水田の高度利用を実現するキーテクとして全国的に普及が進んで い る。地下かんがい時には暗渠管から上方に向かって用水が供給されるため、過大な下方浸透がこの機能の発揮に影響を及ぼす。そこで、FOEASが導入された 全国13地区を対象として、水稲や転作作物栽培時の用排水量や水位、作物収量に加えて、地下かんがい時の下方浸透に直接関係する要因となる、暗渠管埋設 土層(地下-60cm)の透水性や地区内地下水位などの調査により、安定した地下かんがいを行うための条件を評価し、FOEASを導入する際に考慮すべき 条件を提示する。
成果の内容・特徴
  1. FOEASが導入された全国13地区のほ場において、FOEASの機能発揮状況を調査すると安定した地下かんがい機能が発揮されないほ場が4箇所ある(表1)。
  2. K県K地区では近接する2ほ場(表1ほ場No.1、2)の表土と耕盤下の心土における透水係数は同等であるが、一方では心土下層に礫質土が存在 し、地下かん がい時に地下水位が上昇しない(図1、表1ほ場No.2)。従って、FOEASを導入する際は一般的な暗渠排水整備の調査項目である下層土(耕盤下 30cm程度)の透水性調査ではなく、暗渠管埋設土層の調査が不可欠である。
  3. 作物の減収や用水量の増大、地下水位の上昇が確認されずにFOEASの機能が発揮されない地区(表1ほ場No.2、3、7、10)は、暗渠管埋設土層の飽和透水係数が1×10-4cm/sよりも高い(図2)。
  4. 転作時において排水不良になりやすい灰色低地土の地区は地下排水に加えて、必要時に地下かんがいを実施することで、増収効果が得られている(表1ほ場No.6、8、9、11、12、図2)。
  5. 以上のことから、FOEASの機能が発揮されるためには、地下水位状況に関わらず、暗渠管埋設土層の飽和透水係数が1×10-5cm/sオーダーよりも低いことが望ましい(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:ほ場整備事業を行う国や県、市町村などの事業計画者
  2. 普及予定面積:現在、地下水位制御システムFOEASの施工済・事業採択済面積は10,141haで、新規施工の面積割合は約1,700ha/年(過去3ヶ年平均)である。
  3. その他:今回提示した条件は、地下かんがい時の縦方向の浸透に着目した目安である。横方向の浸透の影響などを含め、今後もさらなる知見の集積を図り、FOEASの導入条件について精査していく必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028141
カテゴリ FOEAS 水田

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