水利システム・人工衛星データによる代かき時の水利用実態調査手法とその適用

タイトル 水利システム・人工衛星データによる代かき時の水利用実態調査手法とその適用
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究課題名
研究期間 2011~2014
研究担当者 島武男
久保田富次郎
発行年度 2014
要約 水利システムの水田区画等のGISデータ、取水量データ、人工衛星データを組み合わせて利用することで、水利用実態を推察することができる。筑後川およびその関連流域では、一週間程度、下流域が先行して代かきが行われている。
キーワード 水利システム、リモートセンシング、代かき時期、水利調整、GIS
背景・ねらい 兼業化の進展等の社会状況の変化、乾田直播やFOEAS導入等の営農形態の変化にともない、地域によっては水利用が変化している。水利用変化に応じた水利調整を行うためには、特に水需要の多い代かき時期や夏期湛水の水利用状況を把握する必要がある。これまで、水利システム(用水路、排水路、ゲートやポンプ等の水利施設、圃場から構成されたもの)の代かき水田の判別はある側線にそった一部の圃場を対象としており、全体の代かき率の推定精度は低く、さらに水利システムの実際の取水量と代かき水田分布の関連を検討してこなかった。そこで、代かき面積の多い筑後川流域およびその関連流域を対象に、水利システムに関するGISデータ、水利システムの取水量データ、人工衛星データを組み合わせた水利用実態調査手法を提案し、本手法を適用し対象流域の水利用を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 水利システムに関するGISデータ(水田区画:第4次土地利用基盤情報、水利システム受益領域・水路網:事業計画図、日本水土図鑑GIS)、水利システムの取水量データ、および代かき水田を判別する人工衛星データ(RADARSAT画像、解像度3.15m)を利用する(図1)。RADARSAT画像取得日は、代かき開始から終了まで、約一週間おきに6月12日、19日、29日である。
  2. 筑後川の主な水利システムとして、中流域には大石用水、山田用水、床島用水があり、下流域には筑後川右岸用水、筑後川左岸用水がある。大石用水は13日から、山田用水、床島用水は19日に取水量が急増している。一方、左岸、右岸地区とも、6月10日に取水量が急増している。下流の水利システムでは取水量が一週間程度先行している(図2)。
  3. 33 カ所の現地調査結果よりRADARSAT データで代かきした水田と判別できる閾値を決定し、代かき水田分布図を作成する(図3)。この分布図に水利システムの受益区域を重ね合わせ集計すると下流域の水利システム(筑後川右岸・左岸用水)では6月12日から代かきが始まり、6月19日でピークとなるが、中流域の水利システム(床島用水)では6月29日がピークとなっている(図4)。取水量のデータと同様に、代かき水田分布のデータからも下流域で代かき時期が1週間程度、先行していることが分かる。
  4. 筑後川右岸・左岸用水は、取水量のピークが減少した20日以降も継続して代かきが行われている。代かき面積に比べて取水量が少ないことから、クリーク貯留水の使用が推察される。このように、取水量変動と代かき水田の分布を比較することで、代かき時の水利用実態を理解できる。
成果の活用面・留意点
  1. RADARSA 画像は、1シーンで約60km×60kmで60万円程度の費用がかかるが、雲を透過して撮影できるため、天候に左右されずデータを取得できる利点がある。
  2. 九州中南部で行われている夏期湛水圃場にも適用可能である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028121
カテゴリ FOEAS 乾田直播 水田 水管理 リモートセンシング

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