タイトル |
多収と耐倒伏性を両立させた夏播き用エンバク極早生品種「K78R7」 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究課題名 |
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研究期間 |
2006~2014 |
研究担当者 |
桂真昭
西本淳
松岡誠
清水一
我有満
山下浩
高井智之
波多野哲也
上床修弘
荒川明
松岡秀道
後藤和美
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発行年度 |
2014 |
要約 |
夏播き用エンバク極早生品種「K78R7」(商品名:アーリーキング)は、9月上旬に播種し、年内に収穫する作型で既存の多収品種と同程度以上の収量性と極強の耐倒伏性を兼ね備えた品種であり、ひょう紋病等に対する耐病性にも優れる。
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キーワード |
エンバク、夏播き栽培、多収、耐倒伏性、飼料作物育種
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背景・ねらい |
エンバクの夏播き・年内収穫栽培は、自給飼料の端境期である冬季に良質粗飼料を供給できる栽培体系として広く普及しており、その栽培は安定多収生産を図ることが重要である。そのため、年内に収穫できる極早生性に加え、多収と耐倒伏性を両立する品種が求められている。 そこで、既存の多収品種と同程度以上の収量性と極強の耐倒伏性を兼ね備えた品種の育成を目指す。
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成果の内容・特徴 |
- 「K78R7」は、中生多収品種「メジャー」を種子親、耐倒伏性や冠さび病抵抗性に優れる極早生品種「九州16号」を花粉親として交配した組合せから、九州沖縄農業研究センターとカネコ種苗株式会社の共同研究により育成した品種である。
- 夏播き栽培(9月上旬まで播種)における出穂の早さは、「九州16号」よりやや遅く、九州地域で広く利用されている「ウエスト」と同程度である(表1)。
- 乾物収量は、「九州16号」や「ウエスト」と同程度以上の多収である(表1、図1)。
- 倒伏程度は、耐倒伏性品種の「九州16号」や「九州15号」と同程度で、「ウエスト」より小さい傾向である(表1、図1)。
- 草丈は「九州16号」や「九州15号」より高く、「ウエスト」と同程度である(表1)。
- 各種病害には既存品種と同等以上の抵抗性を示し、冠さび病とひょう紋病の病害程度は低い(表2)。
- 推定TDN含量は「九州16号」と同程度である(表1)。
- 九州、関東地域を中心に、延べ24カ所の農家圃場において試験栽培を実施し、育成機関の試験地と同様な結果が得られている(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:酪農、肉用牛繁殖経営農家・法人、コントラクター等の飼料生産組織
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:関東以西・500ha
- その他:2014年から種子の流通が始まり、カネコ種苗株式会社から「アーリーキング」の商品名で入手できる。各地域の播種適期に遅れて播種すると、年内の出穂程度が低くなることが想定されるので、関東地方では8月下旬から9月上旬、九州地方では9月上・中旬での播種が望ましい。
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カテゴリ |
育種
経営管理
コントラクター
栽培体系
飼料作物
抵抗性
肉牛
乳牛
播種
繁殖性改善
品種
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