ノビレチン等ポリメトキシフラボノイドはナチュラルキラー細胞を活性化する

タイトル ノビレチン等ポリメトキシフラボノイドはナチュラルキラー細胞を活性化する
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究課題名
研究期間 2011~2014
研究担当者 齋藤武
阿部大吾
野方洋一
発行年度 2014
要約 カンキツ果皮に含まれるノビレチン等ポリメトキシフラボノイドは、ナチュラルキラー細胞を活性化し、がん細胞に対する細胞傷害活性を強める働きを持つ。その作用機序としては、細胞傷害活性に重要なプロテアーゼの発現を亢進することにある。
キーワード ノビレチン、ポリメトキシフラボノイド、ナチュラルキラー細胞、グランザイムB
背景・ねらい 高齢化社会への対策として、健康寿命の延伸による生産人口の確保、および医療・福祉コストの抑制は重要な課題である。ナチュラルキラー(NK)細胞は、がん細胞やウイルス感染細胞を攻撃(傷害)するリンパ球であり、NK細胞の機能を強化することは、健康・長寿につながることが期待できる。本研究は、培養細胞を用いた評価系によりNK細胞の機能を強化する食品成分を探し出し、あわせて作用機序を明らかにすることを目的とする。
成果の内容・特徴
  1. ポリメトキシフラボノイド(ノビレチン、タンゲレチンあるいはシネンセチン)を含む培地であらかじめ培養したNK様培養細胞株KHYG-1は、白血病細胞株K562(NK細胞に対する感受性が高いことから、NK細胞の標的細胞として繁用される)に対する細胞傷害活性が強まる(図1)。
  2. ノビレチンは、NK細胞の抗ウイルス活性に関与するサイトカインであるインターフェロン-γの産生を促進する(図2A)。また、ノビレチンを添加することにより、KHYG-1細胞におけるグランザイムB(標的細胞内に侵入して細胞死を誘導するプロテアーゼの一種)のタンパク発現量が顕著に増加する(図2B)。このタンパク量の増加は、ノビレチン処理によるグランザイムB遺伝子の転写量の増加を反映しているものであると考えられる(図2C)。
  3. タンゲレチン、シネンセチン、3,3',4',5,6,7,8-ヘプタメトキシフラボンも、ノビレチンと同様にグランザイムBの発現を促進する(図3)。さらに、天然には存在しない合成ポリメトキシフラボノイドの多くも、KHYG-1細胞の細胞傷害活性を強めることから、この機能はポリメトキシフラボノイドに共通した構造が関与していると推定される。
  4. ノビレチンがKHYG-1細胞の細胞傷害活性を増強させる効果は、グランザイムBの阻害剤Z-AAD-CMKの添加により減弱することから、グランザイムBの発現亢進作用が細胞傷害活性の増強に大きく寄与していると示唆される(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 本結果は、培養細胞を用いた実験の結果であり、動物あるいはヒトでのNK細胞の活性化作用を直接示すものではない。
  2. ノビレチン等ポリメトキシフラボノイドは、ポンカンやシイクワシャーといったカンキツの果皮に存在するが、果肉にはほとんど含まれない。したがって、廃棄されることが多い果皮の機能性食素材としての有効活用が期待される。
  3. 本成果は、ヒトNK細胞の活性化によるがん細胞療法などの医学分野での基礎データとなる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010028102
カテゴリ 機能性 コスト ぽんかん その他のかんきつ

この記事は